その朝、村じゅうがにぎやかな音で目をさました。太鼓の音がどんどん鳴って、
あちこちの家から笑い声や歌が聞こえてくる。
窓をあけると、広場には人がいっぱい。
赤や青や金の布が風にゆれて、
屋根の上には星の形の飾りがきらきら光っていた。
「ついに今日なんだね…」
胸の奥がどきどきして、落ち着かない。
お母さんはきれいな着物に着替えていて、
「ミナもお祭りに出るんでしょう?」と髪をとかしてくれた。
お兄ちゃんはまだ布団にいたけど、
昨日よりも顔の色がよくなっていた。
「ミナ、楽しんでおいで」
にこっと笑ってそう言ってくれた。
その笑顔を見たら、わたしは胸がぎゅっとあつくなった。
わたしにはやることがある。
集めてきた宝物を持って、
星の女王さまに会いに行くんだ。
笑顔花の花びら。
金色の卵の殻。
星の粉。
曲がった字のお手紙。
そして、ひかりのキャンディ。
小さなかごにそれを全部入れて、
わたしは両手でぎゅっと抱きしめた。
「ぜったい、星の女王さまに届きますように」
広場の真ん中には大きなやぐらが立っていて、
夜になると、そこで一番きれいな飾りを披露するんだって。
朝の空はまだ青いのに、
もう星のきらめきがひとつ、ちらりと光っていた。