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「……あの当時は心霊写真や心霊映像、イタコや霊媒師の出る番組は多かった。しかしやらせが横行して番組側は倫理に引っ掛かると大変だからとそういうのが減った」
と、天狗様が坊主の1人にタブレットを持ってきさせる。
「だが2人もやってあるけども個人で心霊動画を簡単にアップできる時代になった。もういくつもある……」
「天狗様は僕らのも見てくれてるんですか?」
「もちろん、見ておる。ここ最近なんか見やすくなったのは……由貴がやったのか」
そう天狗様に言われ由貴はハッとした。子供の頃も由貴の絵の才能を見出して表現力が高いと褒められたことがあったのだ。
そのことが由貴の中に残っていて自分なりの表現ができることとは、と探し辿り着いたのが動画であった。
「ふむふむ、やっぱりな。じゃーこんどわしのチャンネル開設したいからお願いし……」
倉田が睨んでいる。
「やっぱやめとく、そのへんはお前たちに託す。でな、動画で取り上げられるようになったと調子に乗った目立ちがり屋の霊たちがまた大暴れしてぶっそうなことをしてるんだよな」
「わざと悪さをしてそれを動画チャンネルの人に撮影させて目立ちたい、そのために悪さをされたものや人はたまったもんじゃないな」
「あと美帆子ちゃんから聞いたが、事故物件ブームで、死亡事件事故が起こった場所はすぐ特定されてなおかつその後その部屋が安くなる、そういう曰く付きの物件と知って住む若者も増えたとか……時が経てども心霊コンテンツは興味示されるもののされっぱなしでアホな霊たちが蔓延る……ああ、いくら除霊しても追いつかん!!!」
天狗様が大暴れすると部屋の中が揺れる。それを坊主2人が止めないく。倉田は冷静に部屋の中で倒れたものを直すだけである。
誰しもが天狗様が退治すればいいと思われがちだがその容姿で下界に降りても反対に不審者と思われ、なおかつ力を発揮したときはとても恐ろしい力でまた一つなくなるとかなくならないとか。
なので自分の手下たちに頼んで除霊させているようだが……。
「そうだそうだ、美帆子ちゃんに由貴を会わせたか?」
「まだです。由貴はもともと職を失って自殺しようとしてましたからね……彼も登録してもらいます」
「そかそか、じゃあここで油売ってる場合じゃないぞ。彼女に気に入ってもらえたら虹雨のように仕事をもらって生活できるからな、ハハッ。まぁあそことは提携して長い。また仕事を発注するからよろしゅう」
だがその言葉に虹雨はいい顔をしてないのを由貴は見てしまい、不安になるのであった。
2人は神社から出て街に戻る。天狗様のいる場所と街は本当に同じ現代なのか疑問になる程雰囲気が全く違う。
振り返る由貴。
「子供の頃はもっと大きいと思ってたけどそうでも無いんだな」
「なにいってんや、あの時は子供だったしな、俺よりも大きいお前が何言うとる」
「……だよな、いこか」
由貴は虹雨についていく。車に乗り、20分ほどしたところの駐車場に車を停めて歩く。由貴にとっては知らない場所。住んでいた町の横の市でたまに遊びにいっていたが駅周辺だけであり、ここは駅から離れ、川の向こうの商店街であった。
古い居酒屋や昔ながらのお店が並ぶ。
「こんなところあったんやな」
「子供の頃はここまで行かなかったやろ。この先の奥のボーリング場はよう行ったけどもここはこどもの俺たちは行かんかったよな」
由貴はうろうろしていたが、急に足を止めた。
「どないしたん」
由貴が足を止めたのはアンティークな店ではあったが張り紙がしてあった。
『諸事情により閉店しました』
という文字と感謝の言葉、そしてどこかへの連絡先の電話番号も書かれている。
「ここの店主、こないだ亡くなったんや」
「……亡くなった?」
「心筋梗塞だったらしくってな。所長の夫の弟さんでな……まだ50歳、若いよなぁ」
由貴は慌ててカバンから何かを探している。財布を取り出して何かを抜き取った。名刺である。
「ここや……亡くなったんか」
「どした、てかなんで由貴はここの名刺を持っとるんや」
「もらったん、東京にあるときに」
「いつ?」
「んー、4、5年前かな……」
「あんな広い東京の中で同郷の人間と会うなんて」
「虹雨に助けてもらったくらいすごい確率やな」
「……そやな。いくぞ」
だが由貴は動かない。虹雨は手を引っ張る。
「お前は引きが強い。もしかしたらまだその人おるかもしれん」
「おるわ」
由貴が指を刺す先には店内の明かりが付き、そこにはスーツを仕立てているこの店の店主がいた。そして2人に気づいて微笑む。
「……やっぱお前は……」
「ドア、鍵かかってない」
閉まっているはずのドアが開いた。由貴と虹雨は見つめ合う。
「行くしかないか」
「ごめん」
「なんでお前謝ってる」
「……なんでやろな」
さっと2人の目の前に男は立っていた。
「いらっしゃいませ、どうぞ……こちらに」
コメント
1件
ただいま編、めっちゃ好きな回だった……! 天狗様の「チャンネル開設したい」ってノリ、ちょっとかわいいのに倉田の睨みでやめるの笑った😂 由貴が子供の頃の“表現力が高い”って言葉をずっと覚えてて動画編集に活かしてるの、じんわり来たよ。 でも最後の店主……亡くなってるのに微笑んでるの、怖いけど美しいというか。2人の「行くしかないか」が重すぎる……続き気になる😭
#衝撃のラスト
山根利広
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