俺は普通の人では出来ないような奇妙な体験をし続けて来たと思う。別に自慢でもなんでもないがまぁその分色々と学んできた。 そんな変な体験をして来た俺だが1つ、決して忘れない…いや、忘れてはいけない体験がある。それは誰でも言えないしアイツでも言えない。夏に入っては授業中、部活中、何時でも蘇ってくる。
ガタンゴトンと電車は揺れる。確か季節によって揺れる音は変わるらしい、理由は知らないが…。彼奴らは元気だろうか、あの時の夏休みでしか会ってないが大切なダチになる。アイツよりかはだが
今日も思い出すだろう…闇を飲み込んだような体験が……
「此処で、ーー爺さんは何を思ったのかなのだが…」
知らねぇよんなもん。今他の人の感情考える程暇ではないんだよ。俺の席は窓際の後ろ。アイツは真ん中の1番前、(今で言うアリーナ席なんだろう)そこで真剣に話を聞いていた。1週間前喧嘩をしてそれ以降話していない。今日こそは今日こそはと思っていたがいざ話そうとすると頭が真っ白になる。だが今日こそは話そう、いやまず謝るのが先なのか?こんな事今までになかったからよく分からない
ガラガラ!!
「麻村君!麻村君はいますか!?」
何だ何だ?と皆が扉を開けた先生と俺を交互に見た。別に悪い事はしていない気がするが…しかし声的に重要な話っぽい気もする
「何ですか?」
「ちょっと来て下さい…!,先生も!」
「あっはい」
そう言われて先生と俺は廊下にでて話を聞いた
「麻村君,落ち着いて聞いて下さい…」
「今病院から電話があり、お母さんガ(((」
どポン…
衝撃的な言葉だった。まるで…底が無い海に投げ落とされたような…
ここから少しの間何も記憶が無い。ふと気が付くとお婆さんが棺桶?で泣いていた。嫁が先立たれたからだろう。
その後父さんがやって来た。目が赤い,前より少しやつれている,きっと泣いていたのだろう。
「なぁ、お前はどうする?」
「……何が?」
「俺と居るかしばらくお義母さんの家にいるか」
俺はすぐお婆さんの方と言った。父さんが嫌いだからとかでは無い,しかし苦手ではあった。一年に一回だけ帰ってはすぐ海外の方へ行くのだから。父さんの方へ行くとずっと海外の方へなるのだろう。そんなこと無理だ。ただでさえアイツと喧嘩して更に母さんが亡くなって心が痛いのに
そんな事を考えていたらやっと父さんの口が開いた
「そうか、分かった。お義母さんに迷惑をかけるなよ」
そう言って父さんは何処かへ行った
ガタンゴトンと電車が揺れる。お婆さんの住んでいる所が隣県だったので電車を使ってきた。遠くに海が見える。綺麗な海だ。
毎年家族(父さんはごく稀)とアイツの家族で海に行っていたのにな…
次はーー駅
降りたのは俺だけだった。と言うよりこの駅に着く頃には俺しかいなかった
改札口を通り沢山の物が入っている荷物を持っていくと…
「まさちゃん」
お婆さんが改札口のホームで待っていた
「よく来たねぇ。身体は大丈夫?」
「大丈夫だ」
「ここからタクシーに乗るからちょっとまっててねえ」
車越しから見える景色は想像する田舎と同じだった。と言うのも昔何回か来たことあるので懐かしいとしかないが。
「料金1000円でーす」
「はい。丁度ね」
なんて考えてたらお婆さんの家に着いていた。家は広く、庭や鯉がいる所(なんて言うか忘れた)がある。毎回わぁと思ってしまう自分がいるのが何か恥ずかしい…
「此処がまさちゃんの部屋ね」
「ありがとう」
「お昼食べた?食べてなかったらおにぎりがあるから良かったら食べる?」
「食べたい」
「じゃあ持ってくるねぇ」
俺の部屋は結構広く外の自然が良く見える。傷んでいる心を癒してくれるような自然であり、少し和んで来た。
「はいどうぞぉ」
「ありがとう」
「宿題とかは持ってきたの?」
「結構ある…モグモグ」
「そっか~だったら早く終わらせないとねぇ、夏休みはそっちはもう入ったの?」
「いや、後3日位だと思う」
「あら?そうなの。こっちの学校は5日後なのにねぇ」
いつも学校のイントネーションが俺と違うのに少し違和感を感じながらおにぎりを食った。あぁ塩がきいてて美味しい
「フゥー……」
ぱぱっと漢字ドリルとプリントを終わらし一息つく。宿題多過ぎるだろと思いながら後どのくらいあるか確認するのは俺だけではないはず……あぁもう気分転換しに散歩に出かけよう。ヤになってくる…
「ちょっと散歩してくる」
「はーい気をつけてねぇ5時半までには帰ってきてねぇ」
ガラガラ
「ふぅーーむむっ…」
背中を伸ばし歩を進める。とは言っても道は全くもって分からないのでふらふらっと歩く。 今は…4時位、まだ明るい方だ
自然が豊かだからか夏なのに少し涼しい気がする。まぁまだ7月末だからな、これからどんどん暑くなるだろう
「ねぇあの子……」チラッ
「見ない顔…」チラチラっ
さっきからずっと会う人に見られている…少し気まずい……早く歩こう
……?いつの間にか目の前に鳥居が…何処だここ?
「おい、あんた」
「あ?」
ヤベッ印象悪く話してしまった
「見た事ない奴だな。どこの家のもん?」
「麻村だが……」
そう言うと目の前の奴はん〜?と言い何か考えている。俺と同じ位の身長だが少し子供っぽい顔立ちをしている
「あぁ麻村ってあれか」
「何がだ?」
「いや、ここ田舎だし話はすぐ広がるもんだぜ」
多分母さんの事を言っているのだろう
「よしっじゃあ遊ぼうぜ。丁度学校終わって暇だったし」
「は?」
「鬼ごっこでいいぜ?1VS1でも楽しいだろ?」
「はぁ…」コイツ苦手だわ…
「じゃあ俺鬼な」
仕方がない。俺も脚は自慢出来るぐらいはあるからのってやろう
「よ〜い…スタート!」
「ッはやい…!」
一旦走って距離を開いたがアイツは
「くくっ笑」
目を細めて笑っていた
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ワァ