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Scene 29:通知音──あなたの胸がふっと揺れる
夜。
部屋は静かで、
机の上には描きかけのイラスト。
あなたはペンを置いて、
少しだけ伸びをした。
そのとき──
ピコンッ
スマホが小さく震えた。
何気なく画面を見る。
SNSのDM通知。
送り主の名前を見た瞬間、
あなたの心臓が一度止まったように感じた。
『送り主:雪白景兎』
その名前を見た瞬間、 胸の奥がわずかにざわついた。
先輩がいた頃の空気を、 ふと懐かしく思い出すことがあった。
「……え?」
手が震える。
画面を二度見する。
三度見する。
間違いない。
本当に、景兎先輩からだ。
あなたは息を飲んだ。
胸の奥がじんわり熱くなる。
震える指で、
ゆっくりとDMを開く。
そこには、
短いけれど、
彼らしい丁寧な言葉が並んでいた。
「お久しぶりです。
作品、拝見しました。」
その二行だけで、
胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
優しい声で言われたように感じる。
あの頃と同じ、
落ち着いた、安心する声で。
あなたはスマホを持つ手を胸に寄せた。
「……見てくれたんだ……」
嬉しさと、
驚きと、
少しの怖さと、
どうしようもない温かさが混ざって、
胸の奥がじんわり揺れる。
机の端に置いていた白い花が、
あなたの動きに合わせてわずかに揺れた。
その揺れが、胸の奥の温度と
同じリズムを刻んでいるように見えた。
彼が、
あなたの絵を見てくれた。
彼が、
あなたにメッセージをくれた。
その事実だけで、
涙がにじみそうになる。
あなたは深く息を吸った。
「……返さなきゃ……でも……どうしよう……」
返したい。
でも、怖い。
でも、返したい。
その気持ちが胸の中でせめぎ合う。
スマホの画面には、
彼のメッセージが静かに光っている。
────────────
送り主:雪白景兎
────────────
お久しぶりです。
突然のご連絡、驚かせてしまったらすみません。
……改めて名乗るのも変ですが、 元職場でお世話になっていた **雪白景兎** です。
作品、拝見しました。
とても丁寧で、静かで、心に残る絵でした。
もしご迷惑でなければ、
少しだけお話しできたら嬉しいです。
────────────
あなたは、
そっと指を動かした。
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