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翌日私は梅田のデパートへ買い物に行った帰りに、大阪環状線の電車に乗った
この環状線は終点は無く大阪市内をひたすらグルグル回る、目の前に駅の看板が流れて行くこれでこの駅は3週目だ・・・
家に帰りたくなかった、私は環状線の電車のシートに座って、延々と市内をぐるぐる回った、そう・・・私の頭の中も環状線の様にぐるぐる回る
―――私に理解できなかったのは、美鈴が徹を愛しながら、なぜ父と結婚したかということだった。徹も美鈴を愛していたのだったら、徹と結婚すれば良いではないか。それはきわめて単純で明白なことに思われた。
私は何も知らない世間知らずで愛などにもまだ子供で疎い、嫌になるほど考えてもまだ分からなかった
確かに徹とはいとこ同士でお互い学歴もなく、徹に稼ぐ力が無いとはいえ貧乏などという取るに足らない理由のために二人が別れねばならないなどと言う理由は私には考えられなかった。
「貧乏」と言えば・・・いつも父が私達に語ってくれた、父がまだ幼くて貧しい暮らしをしていた頃・・・50円のガムが買えなくてどんなに惨めな思いをしたか、私達には貧乏がどれほど人を卑しく悪行を行わせるか分からないんだよ・・・と言ってくれた