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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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あのズゴゴゴゴの地響きから、まさかの屋敷出現…!火口を塞ぐって規模がすごすぎて笑っちゃいました。ユウマの「拾ってきちゃった☆」からの鎖グルグル姿、ミユちゃんの名前の由来、アステル兄さんたちの誤爆出陣…ギャグとシリアスが絶妙で、一気に引き込まれました。次がすごく気になります!
ミユは洞窟の中をちょろちょろと動き回り、忙しなく準備を進めている。その顔はこれまでに見たことがないくらいの、満面の笑みだった。
「嬉しそうだなぁ」
「やっと動けるってなったら、そりゃあねぇ」
シンとアリスは出かけの準備を進めながら、そうつぶやく。
「俺の荷物まで用意してもらって、悪いな」
「かまわないわよ。アステル君は私たちの大恩人なんだし」
「ヒヒッ⋯⋯ミユはここに来るまでスラム街で生きてたからな。アステル様にいいトコ見せたいんだろ」
シオンもサンドイッチを作りながら、会話に乗ってきた。ホントに料理上手だな。
「ミユは、まだ赤ん坊の頃に、この世界に召喚されたんだそうだ」
「赤子にスキルの制御ができるわけないでしょう? 北の帝国は、アッサリとミユを手放したのよ」
「5、6歳までスラムで生きていた時に⋯⋯ミユを見つけたのがシオンだったってわけだ」
「たっだいまぁ!」
「おかえ⋯⋯って、ユウマぁ!?」
「なんっ⋯⋯なんだ、その鎖!!」
シオン、ディラン、アリス、シンの元へ1週間ぶりに帰ってきたと思えば、ユウマの身体には、所々に鎖が巻き付いていた。彼の腕の中には、警戒心むき出しの少女の姿があった。
「⋯⋯拾ってきちゃった☆」
「『拾ってきちゃった☆』じゃねぇんだよ! まぁた、お前は後先考えず⋯⋯」
飯代どんだけかかると思ってるんだ! と、シオンはお玉を片手にユウマを叱る。
「だってだって! まだこんなに小さいのに、スラムなんかで生きてたんだよ!? かわいそうじゃないか! シオンのケチ!!」
「そういう話をしてるんじゃない! 大体、お前グルグル巻きじゃないか。それ大丈夫なのか?」
ユウマの身体はギュウギュウに締め付けられていて、血でも止まってしまうんじゃないかと、皆が心配していた。
「だーじょうぶ、大丈夫! これでも僕、鍛えてるんだよ? このくらい、どうってことな⋯⋯キュウ」
そこまで言うと、ユウマはバタッと音を立てて地に倒れてしまった。
「あああー! ユウマぁー!」
「ほら、言わんこっちゃない⋯⋯」
4人は呆れながらも、ユウマを介抱する。
「っ⋯⋯まだまだ⋯⋯俺が住んでた世界にあるんだよ⋯⋯『石の上には三年居ろ』ってね⋯⋯」
「なんだ、それ⋯⋯新手の拷問かよ」
「とにかく!!」
ユウマはベッドからガバっと飛び起きると、嫌がるミユを高々と掲げて宣言した。
「俺は絶対! この子を育ててみせるぞ!!」
「ハイハイ。まったく、この頑固者め」
「じゃあ、私が教育をしましょうかね」
「俺も何かするか」
「てゆーか、家族になるなら、名前くらいないのか?」
「うーん⋯⋯俺と同じ、黒髪黒目だから、日本人だと思うんだよね。直感がそう言ってる!」
しばらく悩んだあと、ユウマは少女の髪を撫でながら言った。
「うん、『ミユ』! ミユでどうかな!? 漢字にしたら、どれがいいかなぁ」
そう言ってユウマは、紙にサラサラと書いて模索していた。
「『かんじ』とやらが何かは知らんが⋯⋯いい名前なんじゃないか?」
「そうねぇ。あとは、その鎖をどうするかだけど⋯⋯」
アリスがそうつぶやくと、ユウマは得意そうな顔をして振り返る。そして、ジャーン! と1枚の大きな布を見せた。
「『魔属性遮断』の術式を織り込んだ布地! 時間かかったけど、やっとできたんだ! もちろん、みんなの分もあるぞ!」
「あら、綺麗なものね」
「魔術の勉強、頑張ってるんだなぁ」
「これをマントとか、ローブとかにすれば、魔素を遮断できるはずなんだ! スキルの暴走も減ると思う!」
これでまた、『自由』に一歩近づいたぞ! と、ユウマは嬉しそうに笑うのだった。
俺はみんなの昔話を聞きながら、ユウマの部屋を覗いていた。珍しい道具の数々。壁に飾られた未来予想図。そして『サッカーボール』と言ったか。俺は膝の上でボールをコロコロと転がしながら思案する。
これからグレイレーゼ侯爵領に行くわけだが⋯⋯一応、連絡は入れておいたほうがいいかな。
「紙、ない? あと書くものも」
「あるけど⋯⋯? はい、どうぞ」
そう言ってアリスは1本の棒を渡してきた。なんだ、これ。
「ユウマが持ってたものでね。とっても便利なのよ! 確か、『シャーペン』って名前だったかしら」
ほうほう、『しゃーぺん』か⋯⋯俺はしばらく眺めたあと、丸みのあるてっぺんを押してみる。カチッという音が鳴り、先から尖ったものが出てきた。
「おおっ! 面白いな!」
どうやら、ユウマが住んでいた世界は、ずいぶんと便利なところみたいだ。
「アステル様、何書いてるんですかい?」
シオンと一緒にサンドイッチを作っていたカグアが、俺が書いている紙を覗き込む。
「ルカ兄さんに、一応連絡しとこうと思ってな。手紙くらいの質量なら、3分もあれば『転位』できる」
そう言って俺は、書き終えた手紙に封をして机の上に置く。ついでにこれも送っておくか。
空間属性中位魔法──『転位』
手紙と小包みの周りを術式が囲い込む。あとは3分待つだけだ。それにしても、ホントに長いんだよなぁ⋯⋯『空間属性』。早くユウマに会いたい。
「準備できたよ、アステル!」
「食料はこれだけあればいいか。うん、ワタシも完了だ」
「よーし、早く行こう! ユウマのところに⋯⋯」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ⋯⋯⋯⋯!
突然の地響きと揺れに、みんなが驚く。ふむ、揺れは上からだな。
「ここって、火山の洞窟だったのか?」
俺が率直に質問すると、5人は顔を見合わせた。
「えっと⋯⋯たぶん。少なくとも、ここ100年は噴火してないって話だから、大丈夫だと思うんだけど⋯⋯」
「火口にはマグマがちゃんとあるからなぁ。一応、見に行くか」
「ヒヒッ、そうだな。危ないから、アステル様はここにいてくれ」
「わかった」
俺は出口へと向かう5人を見送る。テーブルを見ると、ちょうど『転位』が終わったところだった。
「カグア」
「へいっ!」
「ミユたちに付いててくれ」
──どうにも、胸騒ぎがするなぁ。俺としても、吉か凶なのかわからない。さて、どうなる⋯⋯?
エルシア公爵家の執務室では、寝間着姿のルカがワナワナと震えていた。隣にはクラリスとミオンもいる。ミオンはこの緊急事態を聞いて、慌てて公爵家に帰ってきていた。突然机の上に現れた手紙の封を開け、ルカが読み上げる。
「『ノクス協会のみんなと出かけてきます。しばらく戻らないかもしれませんが、心配しないでください。アステルより』だと⋯⋯!? いったい、何がどうすればこんなことに⋯⋯!?」
「まさか、誘拐⋯⋯!?」
「お、落ち着け、ルカ、クラリス。アステルはそんなヘマをするやつじゃねぇはずだぜ⋯⋯」
「そ、そうですよね、ミオン兄さん⋯⋯」
「して、この小包みは⋯⋯?」
クラリスは机の端にある、葉っぱでできた小包みをおそるおそる開けてみる。そこには、ところどころが破れて、黒こげになったアステルの普段着が入っていた。
「「「⋯⋯」」」
──ほう、まさか連中、こんなものを送りつけてくるとはな⋯⋯。
──アステル様が、拷問を受けている⋯⋯!? いや、もっとひどいことをされているのでは⋯⋯!
──これはもう、行くしかねぇよなぁ⋯⋯!!
「 「 出 陣 ! ! 」 」
「 御 意 ! ! 」
アステルの胸騒ぎは、こっちの方が強かったかもしれない。
「「「「「⋯⋯⋯⋯は?」」」」」
火山の頂上まで登りきったミユたちは、唖然としていた。普段はグツグツと煮え立っていたマグマが、すっかり消え失せている。いや、蓋をされていると言ったほうが正しいだろうか。目の前には、巨大な屋敷。屋敷だけでなく、石造りの塀、鉄の門、それらを支える広い敷地⋯⋯突然現れたであろう不気味な屋敷は、火山の火口を塞いで堂々とそびえ立っているのだった。
そして、今⋯⋯その鉄の門が開いたのだ。