テラーノベル
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次の日も、その次の日も、わたしは紙のつばさで練習した。
でも、風が足りなければ浮かないし、
強すぎればひっくり返って草の上に転がるだけ。
「やっぱり、むずかしいなぁ…」
丘の上に座り込んで、
村の屋根や広場をながめた。
お祭りの準備はもうほとんど終わっていて、
みんなが最後の飾りつけをしている。
その中に、金色の卵も、
森から持ってきた笑顔花も、ちゃんと飾られていた。
遠くからでも光って見えて、
胸の奥があったかくなった。
──そうだ、飛べなくても、
わたしはもう宝物を二つも集めたんだ。
星の粉の道は、きっとまだずっと先まで続いている。
でも、今のわたしにできることを、
ひとつずつやっていけばいい。
「うん」
立ち上がって翼を背中から外すと、
風にのって紙がひらひら舞った。
その紙片の一つに、小さな星の粉がきらっと光った気がした。
──飛べなくても、
歩いてだって、星の女王さまのところへ行ける。
そう思ったら、足どりが軽くなった。
次は、どんな宝物が見つかるんだろう。