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あ゙ーーー!
あ……あ……… ……もう流石にヤバいんじゃ… 純くんとうとう限界突破するか…? え、〇なない…よね??
名前…か…めっちゃ大事なちゃつじゃん…純君、いつも我慢してるけど結構限界近くね?◯殺とか、しないよ…ね?
最低ラインまで、あと一週間。
早すぎる、と思った。
同時に、妙に納得もしていた。
忘れられるスピードも、
一緒に過ごす時間も、
全部、均等に削られていった。
朝、目が覚める。
……ちゃんと、起きられた。
それだけで、少し安心する。
まだ、ここにいる。
⸻
権兵衛と光子郎が話している。
その輪の中に、自然に混ざる。
視線は、ちゃんと合う。
声も、届いている。
でも――
「なぁ、えっと……」
権兵衛が、こちらを見る。
口を開いて、閉じる。
もう一度、開く。
「……」
言葉が、落ちてこない。
光子郎も同じだった。
「その……お前」
呼びかけ方が、曖昧になる。
名前が、出てこない。
それでも二人は、ちゃんと分かっている。
そこに誰がいるか
どれだけ大切か
それだけは、失われていない。
だから余計に、苦しい。
「別に、いいよ」
純は笑った。
「名前なんて、記号みたいなもんでしょ」
軽く言ったつもりだった。
でも、胸の奥で何かが剥がれ落ちる。
名前を呼ばれない。
それは、
世界に繋ぎ止めていた最後の糸が、
静かに切れる音だった。
⸻
夜。
一人で鏡を見る。
「……純」
自分で、自分の名前を呼ぶ。
まだ、言える。
でも、それがいつまで続くかは分からない。
名前が消える。
次は、声。
次は、輪郭。
最後に残るのは、何だろう。
――きっと何も、残らない
⸻
翌日。
権兵衛が、意を決したように声をかけてきた。
「なぁ……」
言葉を探す目。
「……大事な…やつ」
それで全部伝えようとする。
光子郎も、珍しく目を逸らしたまま言った。
「名前は……出てこない。
でも、忘れてるわけじゃない」
純は、ゆっくり息を吐いた。
「うん。分かってる」
本当は、分かってほしくなかった。
でも、責める資格はない。
これは病気だ。
誰のせいでもない。
それでも――
名前を失うって、
こんなに寒いんだな。
⸻
その夜、純は思った。
名前が呼ばれなくなった時点で、
もう半分、消えているんだ。
あと一週間。
世界は、ちゃんと前に進む
自分を置き去りにしたまま