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妙な客ばかりやってくると思ったらさらに妙な珍客がやってきた。
そろそろ店を閉めるという時間にギギ、ギギ、音がする。
見ると女が来た。いや、女が来たと言うよりは鼻がきたと言った方が適切であろう。
それほどこの女は鼻がでかいのだ。長いのだ。
それを表現するにはちと面倒なので『吾輩は猫である』の鼻子と表現させていただく。
鼻子同様、鼻がデカく、喋ると口ではなく、鼻が喋っているようなものであった。
また、彼女の首には光る玉が無数に飾り付けてあるのだ。
また、彼女の服はあまりにも華やかで、バブル期ではしゃぐ日本人のようである。
だがバブルはバブル。余り長続きはせぬ栄光といったところだろう。
その女は席につくと、ふとこう申した。
「何ここ、酒臭いわねぇ」
皆、ここにいる皆、そして今これを読んでいる皆、「そりゃバーだからよ…」
と思うだろう。全くその通りである。ここはバー、酒のある、いや酒しかない場である。
ふと考えたが、この女は鼻がでかいせいで嗅覚が優れているのではないか。
しばらくし、彼女はビールを4、5杯飲み、酔い潰れてきた。
その時である。
彼女はビール瓶に倒れ掛かり、鼻がビール瓶に突っ込んだのである。
女はすぐさま起き上がり、余程丁度の大きさだったのかまだ瓶と鼻は離れない。
女は奇声を発し、顔を赤くし、目は血走った。
また、その時である。
彼女の鼻から鼻血が吹き出したのである。
瓶は赤く染められ、鼻はブクブク、血を吸い込んでは吐き出し、吸い込んでは吐き出し、
もはや窒息状態である。
彼女はビール瓶を抜き、床目掛けて瓶を投げ、割った。
そこに鼻血をポタポタ落とし、机に体をもたれて倒れた。
今、事情を知らぬ者が来たらまさしく、殺人現場と勘違いするだろう。
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