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恋愛シュミレーションゲームの主人公、ヒロイン設定は大抵ありふれている。

それは「純愛のクロス」も例外ではない。

ありふれた容姿、設定も同じ。


「モーイン=ブリアント」


「純愛のクロス」のメインヒロイン。

名門ブリアント伯爵家の息女、光魔法の属性で魔力量はチート。

よくある設定通り、光魔法で容姿端麗、だが唯一違うのが名門貴族出身というくらい。

レイブンやサリーとは幼馴染の関係にあったが十二歳まで交流があったが、それ以降はあっておらず約三年ぶりの再会となる。

では何故名門貴族同士なのにあってすらいないか、それはご都合主義なのだろう。

偶々参加した交流会で会えなかったりとゲーム設定であった。

そしてここ、偶々?王立フューチャー学園で三年ぶりの再会を果たしたのだ。

俺はゲームの設定やイベントの流れを考えながら三人に耳を傾ける。

ゲームのイベントを生で見れるんだ。

そりゃみるに決まってる。


「モーイン、サリー久しぶりだな、三年ぶりか」

「ええ、久しぶりね」

「本当久しぶり!みんな変わったね。レイブンは一層かっこよくなったし、サリーも綺麗になったね!……私も少しは綺麗になったかな?

「そうだな。うん、どちらかといえば可愛くなったと言った方が良いかな。サリーもそう思うだろう?」

「……そうね。モーインはすごく可愛くなったわね」

「そうかな……えへへ」


会話を聞いている限り、モーインはクラスにおいてはムードメーカーの明るい存在。誰とでも聞くさに接することができるアイドル的存在。

サリーはモーインとは正反対で学級員長のような性格。

その結果モーインのテンションに少し戸惑った様子をしている。

そんな二人に板挟みになっているレイブン。

モーインはレイブンに褒められ頬を染めており、それを見てサリーは二人の様子を見て小さくため息をしている。

本当に対局の二人だ。

二人ともレイブンに好意を持っている。

違いは気持ちを外に出しているか内に秘めているか否か

そんな対局の二人だが、仲は良好。

お互いがお互いに持っていない要素がありそれを補い合えるそんな関係。

だが、その性格が原因で今後のイベントで亀裂を生んでしまうのだが……。

そんな三人だが、もうすごく目立っている。

ホールの中央、そして人目を引く容姿。

それらが合間って注目を浴びてしまっている。

レイブンに限っては俺を含め、会場の男子は皆殺気を向けている。

そりゃそうだ。あんな絶世の美女から板挟みにされている状況だ。しょうがない。

ただ、それも長くは続かない。

後は三人が教員に注意されてイベントは終了。

後ほど式が終わった後、会う約束して別れる。

早く終わんねーかなー。見ててすげぇ殺気が湧く。

クソ、リア充爆発しろよ。

たが、この後の展開は俺が知らないものとなってしまった。

俺自身も忘れていた、もうすでに原作に介入しレイブンと関わりを持ってしまったことを。


「アルトではないか?」

「………え?」


俺は何故か名前を呼ばれた。

周囲を見渡すが、知り合いはいない。

カインさんはいないし、あとはクーインくらいかな?


「なんだよクーイン」

「僕じゃないよ」

「え?じゃー誰が」

「アルト私だ、レイブンだ!」

「なに?レイブンの知り合い?」


クーインに確認するも違うと言われた。

そして再度声のする方へ顔を向けると、そこには赤髪のイケメンのレイブンが美少女二人を伴い俺の近くへと来ていた。

なんで話しかけられたの?

聞いている限りではまだ三人は注意されてないよね?

レイブンは俺の考えとは全く違う行動をし、話をかけてくる。


「入試ぶりだな」

「ああ……レイブンも久しぶり」


なんでここにいるの!

なんで話しかけるの、しかも親しげに。


「レイブンの知り合い?」

「……」


レイブンの行動に少し控えていた美少女二人がそれぞれ違う反応、行動を見せる。

モーイン気になり直接聞いてきてサリーは黙って様子を伺っている。

どう反応すればわからない……とりあえず自己紹介が無難かな?


「クロスフォード子爵家のアルトと言います」

「彼は私の友人でね、親しくさせてもらっているんだ」

「あ!そうなんだ」

「レイブンの友人……」


俺の自己紹介にレイブンが追加の紹介する。

それでモーインとサリーがそれぞれ反応を見せる。

レイブン……俺はいつ君と友人になったのだろう?

話した機会も一度だけ、それで友達認定ってどんな基準なんだろう?

だめだ。陽キャの考えていることがわからない。

俺がレイブンの考えが分からずどう反応すれば良いかわからないままだったが、この会話はすぐに打ち切りとなった。


「おい、お前たち静かにしないか!」

「「「「すいません」」」」


学園の教員に注意を受けてしまった。

もう、こいつのせいで俺巻き込まれちゃったじゃん!

巻き込まれモブじゃん。

てか本来ならもう少し早く注意されたはずでは?

なんでこんなにも遅いのだろう?

俺は気になり声をした方向を見たら……カインさんがいた。


「入学式でテンションが高くなるのは分かるが、時と場所を考えろよ」


カインさんはそう言ってその場を去った。

ただ、去る際に俺に向けて笑顔を向けてきていた。

もしかして気を使ってくれたのかな?

ありがた迷惑な。


「ではアルト、またの機会に」

「またね!……あ、私はモーイン=ブリアントって言うの、こっちがサリー=クイス。よろしくね」

「よろしくお願いします」


モーインが去り際に挨拶し、サリーもそれに続く。

だめだ……陽キャのテンションについていけない。

まぁ、一応自己紹介をくれたため、お返ししよう。


「よ……よろしくお願いします」

「同級生なんだから敬語は不要よ!……っとここにいたらまた注意されちゃうわね。またね!」


モーインは俺の返答に対してそう言いながらその場から、サリーは去り際に笑顔で一礼をしていった。

てか、クーインあいつどこ行きやがった?俺は気になり周囲を見渡すがいない。

……見捨てやがったあの野郎!

俺はクーインに後で文句を言ってやろう。

そう決めた。

ちなみに俺はこの一連の流れに対して思ったことは二つ。

一つは、絶世の美少女相手にめっちゃドキドキした!!

そしてもう一つはーー。


「あいつ何者だよ、あの方達とあんなにも親しく」

「どんな御関係なのでしょう?」

「……少なくともレイブン様と同じ実力者?」

「クロスフォード家の子息といえば病弱だったはずだが……」

「死ねばいいのに」


と俺は悪目立ちをしてしまった。

てか最後のなんだよ物騒すぎるだろ!


俺……ただのモブだよ……。

即死モブだけど死ぬ運命の分岐点まだまだ先だよ。

背中刺されそうで怖いよ。

イベント前に死にたくねーよ!




どうしてくれんだよ主人公!

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