テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
立川駅周辺を、千鳥足で歩く圭を、通り過ぎる女たちが、目を丸くしながら振り返っていく。
「んあぁ? な……なり…………みれんらるぉ……!」
威嚇するように絡むイケメンの酔っぱらいを、怪訝な表情で、そそくさと小走りする、すれ違う女たち。
ほぼ酩酊状態の圭は、ブツブツと意味不明な呟きを零しつつ、駅方面へと向かっていく。
「ってぇらぁ……うぉい……」
ペデストリアンデッキへ繋がる階段の手すりに、腕を思いっきりぶつけた彼は、階段を上らず、左右にフラつきながら歩き続け、気付くと、モノレールの線路下の遊歩道に辿り着いていた。
等間隔で設置されているベンチには、聖なる夜を満喫しているカップルが占めている。
幸せそうなカップルを睨み、圭は足が縺れそうになりながらも、空いているベンチを探して彷徨う。
さらに奥へ進み、ようやく空いているベンチを見つけた圭。
「うぇ〜い……らっとぉ…………みぃるれたれぇ……」
彼は、傾れ込むようにベンチに横になると、速攻で寝てしまった。
***
「…………さん? お……さん? おにーさん、だいじょぶ?」
ずいぶんと長く横になっていたのだろうか。
身体を揺さぶられている感覚と、のほほんとした声音に、圭はゆっくりと瞼を開いていく。
金髪のようなストレートロングヘアの女に、起こされていた。
薄茶の瞳は、パッチリとした二重瞼で、恐らく、カラーコンタクトレンズを入れているのだろう。
「……っ…………うぅ……」
深酒のせいで頭痛がしたのか、顔を顰めながら額を押さえ、ゆっくりと身体を起こす圭。
「無事で良かったぁ! こんな寒空の下で寝てたら、下手すると死んじゃうよ?」
「…………フンッ……」
ギャルのような女を蔑むような眼差しで見やると、女は、目を細めながら安堵の表情を覗かせた。
圭は改めて、目の前で起こしてくれた女の姿を捉える。
白のダウンジャケットに、小汚い色合いのダメージデニム、黒の厚底スニーカーを履いている女は、圭の一番嫌いな女のタイプだ。
「…………馴れ馴れしく声を掛けるな。鬱陶しい」
彼は、バツが悪そうに言い捨てると、まだおぼつかない足取りで、女の横を通り過ぎていった。