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うはっ(*´艸`*)🩷 これからふたりきりでデートですな🤭🩷🩷🩷 後部座席に乗り込みたい😆
美月ちゃんと亜矢子ちゃんがしっかり最後まで見てくれて高村さんも感動したのでは⁉️そして浩さんの気遣いで美月ちゃんと海斗さんのデートが実現❤️これは〜距離近づくこと間違いなし🙈💞👍
浩さんナイス‼️👍️♥️ 美月ちゃん、海斗さんと二人っきりのデート👩❤️👨 楽しんでね~💖 私もドキドキしちゃいます( 〃▽〃)♡
イベントは大成功だった。
短い時間ではあったが、海斗のバンドはレベルの高い演奏で観客を魅了した。
そして盛大な拍手を受けながら海斗は舞台袖へ戻って行った。
全ての演奏が終わると、司会の女性が最後の挨拶を始めた。
まだ挨拶が終わっていないのに、海斗の女性ファン達は騒がしく移動を始める。
おそらく海斗達が帰るところ待ち構えたいのだろう。
しかし美月と亜矢子はそのまま座り、最後まで女性司会者の話を聞いていた。
ホールの壁際にいた高村が、そんな二人を見ている。
司会者の挨拶が終わると、二人は拍手をして漸く席を立ちあがった。
そこへ高村が歩いて来て二人に声をかける。
「私、solid earthのマネージャーをしております高村と申します。本日はお越しいただきありがとうございました」
高村は紳士的にそう述べると、二人に名刺を渡した。
亜矢子はかなりびっくりした様子だったが、美月は落ち着いて言った。
「こちらこそお招きいただきありがとうございました。とても素晴らしい演奏でした」
すると高村が嬉しそうな笑顔で続けた。
「ありがとうございます。沢田がお二人に楽屋まで来て欲しいと申しておりますので、お時間があるようでしたら是非」
高村の言葉に二人は思わず顔を見合わせる。
しかしすぐに亜矢子が答えた。
「はい、では折角ですので」
「ではこちらへどうぞ」
高村は二人を先導してくれた。
高村の後ろをついていきながら美月は亜矢子に、
(もうっ!)
声を出さずに亜矢子に訴える。
しかし亜矢子は全く気にしない素振りでルンルンしていた。
三人が廊下を進んで行くと、途中先ほどの女性ファン達がたむろしている。
海斗の出待ちをしているようだ。
しかし高村はその横を通り抜け、『立入禁止』の札置かれた先を歩いて行った。
二人がそれに続いて角を曲がると、廊下の両側に楽屋が並んでいる場所へ出た。
その中に「solid earth様」と書かれた部屋がある。
高村がドアをノックして開けると、
「どうぞこちらへ」
と二人に中に入るように言った。
その部屋は海斗達の楽屋だった。
壁際にはヘアメイク用のドレッサーがあり、窓際にはソファーセットが置いてある。
部屋の真ん中の大きなテーブルには、差し入れの飲み物や食べ物が沢山置かれていた。
バンドの四人はソファーに座っていた。
全員汗を拭くためのタオルと飲み物を手にしている。
楽屋に入ってきた美月を見た海斗は、一瞬目を細める。
いつもジーンズだった美月が今日はなんだかイメージが違う。
それから海斗は立ち上がって美月の傍へ来ると、笑顔で言った。
「今日は突然だったのに来てくれてありがとう」
「こちらこそお招きいただきありがとうございました。とても素晴らし演奏で感動しました」
美月はもうちょっと気の利いた事を言いたかったが緊張でこれが精一杯だった。
すると海斗は嬉しそうに「ありがとう」と言った。
そして美月の隣にいた亜矢子を見る。
「彼女は私の高校時代からの友人の田村亜矢子さんです」
「田村です。今日はお招きいただきありがとうございました」
普段何があっても緊張しない亜矢子が緊張していた。
無理もない。有名人と至近距離での初対面なのだ。
「沢田です。今日は来てくれてありがとう」
海斗がとびっきりの笑顔で言ったので、一瞬にして亜矢子がヘロヘロになったのを美月は見逃さなかった。
それから海斗はメンバー三人を呼び、二人に紹介してくれた。
メンバーの吉田、中島、山崎の三人は、海斗とは中学高校時代からの長い付き合いだという事、
そして高校の軽音楽部時代にバンドを結成した事などを話してくれた。
メンバーの三人はニコニコして二人を歓迎してくれた。
亜矢子は、姉が『solid earth』がデビューした時からのファンだった事や、昔姉と一緒に下北沢のライブハウスのライブに行
った事があるという事を話すと、バンドのメンバーはとても喜んでいた。
そしてその当時の懐かしい話で盛り上がる。
その時、話を聞いていた美月の傍に海斗が近づいて来て言った。
「今日一緒に帰ろう。車で来ているんだ。亜矢子さんも一緒に」
美月はびっくりする。
「え? でも後片付けとかで色々忙しいんじゃ……?」
「片付けはスタッフが全部やってくれるから大丈夫だよ」
美月は断る理由が見つからず戸惑っていたが、
(亜矢子が一緒なら……)
そう思い、海斗の誘いに応じる事にした。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
海斗は満足そうに頷くと、メンバーに向かって言った。
「じゃあ、俺は先に帰るからな」
海斗は荷物をまとめて部屋を出る準備を始めた。
その間に美月は亜矢子の肘をつかんで言った。
「海斗さんが今日車で来ているから、亜矢子も一緒に三人で帰ろうって言ってくれているの。いい?」
「もちろん!」
亜矢子はニッコリして答えた。
「じゃ、いこうか」
すると他のメンバー達が、
「今日は来てくれてありがとう! 今度はライブにも是非来て下さい」
と二人に声をかける。
美月と亜矢子は皆に挨拶をしてから、先に部屋を出た海斗を追いかけた。
三人で廊下を歩いていると亜矢子が突然二人に言った。
「実は今夫からメッセージが来て、桜木町まで迎えに来ているみたいなんです」
それを聞いた美月は驚く。
「え? 嘘…」
「嘘じゃないよー、ほら」
亜矢子はそう言って今来たばかりの浩のメッセージを見せてくれた。
「沢田さん、せっかく車でと誘って下さったのにすみません」
亜矢子は心から残念そうに言った。
「いえいえとんでもない。優しいご主人ですね」
海斗はにこやかに笑う。
「美月ごめんね。それじゃあ私はここで」
「今度はライブにも来てくださいね。チケットは美月さんに渡しますから是非二人で一緒に」
海斗がそう言うと、
「実はうちの主人も海斗さんの大ファンなんです」
亜矢子は茶目っ気たっぷりに言う。
「わかりました。では今度はご主人も一緒に三人で!」
「ありがとうございます。では失礼します。美月またね」
亜矢子は笑顔で手を振ると、ホールの出口へと向かった。
美月はと言うと、呆然としたまま力なく亜矢子に手を振っていた。