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瑠衣と身体を交えるだけで、十万円が貰える内容の闇バイト。
盗撮したと思われる彼女の写真が、募集内容のページに十枚ほど掲載されていた。
彼女の情交相手は一人一回限り、一日七名限定で三日間。
瑠衣と彼女の相手を車で送り迎えする送迎役が五人、瑠衣の見張り役と世話役を兼ねた人員は一人だけ募集。
いずれも、今年のゴールデンウィーク期間中に決行するようだった。
(やっぱり…………瑠衣ちゃんを狙ってきたか。それにしても、また随分先の話だな……)
瑠衣の心と身体を抉る内容に、彼は憤りが沸々と込み上げてくるのを感じる。
下手したら、用済みになった彼女が、殺められる可能性も、ないとは言い切れない。
(凛華さんを死に追いやったヤツらと、同一犯かもしれない。瑠衣ちゃんを……死なせるわけにはいかない……)
バイト内容の詳細を確かめた拓人は、迷わず、見張り役と世話役に応募した。
***
「拉致された彼女が…………あのベッドの上で、不特定多数の男に犯されるのを……俺は……心が押し潰されそうになりながらも…………黙って傍観する事しか……できなかった……」
「……彼女を…………瑠衣さんを……助けなかったんだ……?」
「自分の命が惜しいというのもあったし……彼女を確実に助けるには…………脱出するきっかけと、ヤツらの様子を伺うために、グループの懐に入り込むしかなかった……」
拓人は、パイプ製のベッドフレームに結われたままの縄を手にすると、憂いを滲ませる。
「彼女が逃げないように、このロープで左手の手首を縛ってたんだけど……正直……心苦しかった……」
彼が、顔をクシャリと歪め、掌に乗せていた縄をギュッと握り締めると、ぎこちなく話を続ける。
瑠衣が陵辱された後の数日間、拓人が彼女を抱きしめ続けた事。
闇バイト終了間際に、瑠衣を連れて、この山小屋から脱出した事。
車でお台場へ向けて走らせ、彼女に想いを告げた事を、拓人は優子に包み隠さず話した。
「それに…………」
彼は、神妙な面持ちで呟くと、うっすらと錆びついたベッドフレームを見やる。
「あんたには……なかなか言い出せなかったが……」
握りしめていたロープを手放すと、拓人は女と向き合う。
ひとつ、ため息を零しながら俯いた後、意を決して顔を上げた。
「俺は…………今も『送迎役』の連中に……追われている」