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王立フューチャー学園の入試が終了し一週間ほどが経った。
今俺は部屋でソワソワしていた。
今日は合格発表日なのだ。
では何故合格が決まっている俺がこのような行動をしているかといえば、クーインの合否があるからだ。
クーインは俺の唯一の友人、ボッチの俺からしたら合否の結果次第で今後の学園生活にが変わることになる。
俺が祈るような思いで部屋にいるとドアのノック音が聞こえた。
「はい」
「ゼフでございます。アルト様宛にお届けものがありました」
俺が返事をすると、ゼフが入って来て、俺宛の手紙を渡してきた。
宛名を確認をするとそこには「王立フューチャー学園」と書かれていた。
俺は見た瞬間手紙をゼフに渡し学校へ急いで向かう。
「アルト様!」
「中身確認しておいて!あと俺今から用事ある外行ってくる!」
俺の突然の行動に驚いたゼフに名前を呼ばれた。俺は自室の扉の前で止まると手紙の中の確認をゼフに任せて、用事があると断りを入れた後、クーインとの待ち合わせ場所に向かった。
俺が屋敷を出てから十数分走り出し続けたら学校が見え、入り口前で人影が見えた。
しばらく近づくと、誰だか認識できた。
「クーイン!」
俺がそう名前を叫ぶと反応する。
すると俺が走って来ているのがわかったのだろう。
クーインは俺にゆっくりとだが、近づいて来た。
よく見ると手には何か紙切れを持っていることに気がつく。
おそらく学園の合否通知なのだろう。
俺が考えながらクーインに近づいて声をかける。
「どうだった?」
俺がクーインに問いかける。
するとクーインは持っていた手紙を取り出し、俺に見せつける。
そしてー。
「受かった」
その一言だけ話す。
俺はその場で「よし!」とガッツポーズをした。
「僕以上に驚いてるじゃないか?」
「いや、嬉しんだからいいだろ別に」
「そうか……確かに安心したさ」
俺の反応にクーインは苦笑いしながら話してくる。
しかし、俺は否定せずにそのままの気持ちを話すと、少し照れながらもそう返す
「とにかく、これでお互い合格だな!」
「ああ」
俺とクーインはそう言いながら右手を肩くらいまで上げる。
そして、パシン!とお互いハイタッチをした。
その後クーイン何か思いついたのか質問をしてくる。
「そう言えばアルトの合格通知持ってきてないのか?」
「あ………確認するの忘れてた」
「おい………」
クーインにそう指摘され、結果を見るのをそっちのけでこの場に来てしまったことを思い出す。
そんな俺にクーインは呆れていた。
その後、合否通知を取りに戻り確認した結果、見事に合格。
俺はここ手紙を持ってまた学校に向かいクーインに伝えた。
「おめでとう………本当にアルトは締まりが悪いな」
「………さーせん」
このような少し面倒くさいやりとりがあったが、無事に二人揃って王立フューチャー学園に合格することができたのだった。
先程のやり取りの後、俺は冒険者ギルドに向かった。
理由はノールトさんとマリエさんに報告するためだ。
俺はいつも通り受付の仕事をしているマリアさんに話しかけた。
「あ!アルトさんお疲れ様です。今日はどうされたんですか?いつもより遅かったですが」
「ああ、実は用事がありまして……今日ノールトさんいますか?」
「はい、ギルドマスターはいますがどのようなご用件で?」
「はい……王立フューチャー学園の合否についてです」
「!?わかりました。今呼んできますのでお待ちください」
俺の話を察したのかマリエさんはノールトさんの元へ向かった。
それから数分後マリエさんは戻ってきた。
「ギルド長からギルド長室に来るようにとのことです」
「わかりました」
俺はマリエさんにノールトさんからの要件を伝えられ、ギルド長室に招かれた。
マリエさんから促されギルド長室に移動、ノックを入室する。
「失礼します」
「おお!!アルト君じゃないかね?早く入るかね」
「わかりました」
俺が入室するとノールトさんは自分の向かいにある椅子に座るように促す。
俺は了承し、席へとついた。
すると、ノールトさんは間髪入れずに話し始める。
「それで結果はどうかね?まぁ、合格しているのは分かっているが、どうしても自分の目で見なくては納得がいかないかね」
「……わかりました。これが合格通知です」
俺は興奮気味で話しているノールトさんに学園の合格通知を見せる。
すると突然机をドンと叩き、大声を出す。
「よくやったアルト君!君はクロスフォード支部の誇りだがね。これからも頑張るかね」
「は、はい。……頑張ります」
俺はノールトさんの雰囲気に圧倒され少し萎縮してしまったがどうにか返事をする。
それにしても何でこんなに必死なんだろう?
俺は聞いてみることにする。
「あの……ノールトさん」
「なにかね?」
「この度の学園合格はノールトさんのお陰で合格できました。……それで一つ質問なのですが、何でそんなに良くしてくれるのですか?」
「ふむ……それはだね」
俺はノールトさんの言葉を黙って待つ。
この人のお陰で俺は簡単に合格できた。
推薦をもらえたから訓練に集中できた。
これには何か特別な意味があるのではないか?
そう思えてくる。ただの善意ならそれだけで良い。
でも、どうしても気になったため質問した。
「それはだね………」
「………」
俺はノールトさんの言葉に息を呑む。
結構勿体ぶって話している。
もしかしたら重要なことなのかもしれない。
俺はそう期待して答えを待った。
「簡単だがね。それらは私の評価に直結する。担当している支部から優秀な冒険者を出せばそれだけ上がるかね。だからアルト君……私の出世のため、頑張って有名になるがね!」
「そ……そうですか」
期待して損したわ!自分の出世のためかい。
ならあんなに溜めるなよ、期待しちゃうだろ!
俺は心の中でそう突っ込む。
その後はノールトさんとは事務的な話をして、マリエさんにも合格の報告をして、ギルドを去り屋敷へ帰った。
そして、屋敷に帰った後は凄いことになっていた。
父上と母上は宴会テンション。今まで食べたことのない料理を用意していた。
本当にいい両親に恵まれて俺は幸せだな。
そう思った。