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#ファンタジー
#御曹司
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荘厳な佇まいの教会に入ると、チャペルの両端にあるステンドグラスから、柔らかな光が差し込み、バージンロードに色彩豊かな影を落としていた。
既に多くの親族や参列者が椅子に腰を下ろし、挙式が始まるのを待っている。
J.S.バッハの『主よ、人の望みの喜びよ』が、パイプオルガンの音色で静かに奏でられ、教会の中を包み込む神聖な雰囲気に、背筋がピンと伸びる美花。
(あ…………おにーさん……)
新郎側の最前列の席には、美花が密かに恋慕を抱いている葉山圭の姿もあり、光沢のあるブラックのスリーピースのスーツに、シルバーのネクタイを締めている彼は、とてつもなく素敵な男性で、彼女の心を掻き乱す。
「懐かしい……」
奈美が祭壇に視線を辿らせながら、感慨深げにポツリと零す。
「ああ。あれから一年か。早かったな……」
豪が、しみじみと言葉を噛みしめ、口元を緩ませている。
「なみプーの結婚式、バージンロードを一緒に歩いたの、所長だったよね?」
「そうそう。あの時の純、ガチガチに緊張してたよな」
「でも、谷岡さんとバージンロードを歩けたのは、ある意味記念になったかも」
三人が小声で雑談していると、パイプオルガンの音が徐々に消えていく。
ライトグレーのフロックコートを纏った新郎の怜が、端から祭壇の横に進み、扉が静かに閉められた。
「只今より、新郎、葉山怜さん、新婦、音羽奏さんの結婚式を執り行います。皆様、ご起立下さい。新婦の入場です」
ワーグナーの『結婚行進曲』がパイプオルガンの音色で厳かに流れ始めると、入り口の扉が恭(うやうや)しく開かれ、純白のベールに覆われた奏が、父親の腕を取り、バージンロードをゆっくりと歩き始めた。
マーメイドラインのウェディングドレスは、スタイルのいい奏に良く似合い、漆黒の黒髪は、シニヨンで纏められ、美花は、うっとりしながら親友の晴れ姿を見守る。
コンパクトな白バラのブーケが奏のドレスに映え、控えめに存在を主張していた。
ステンドグラスから降り注ぐ陽光が、花嫁を優しく包み、ベールの向こう側に映る奏の表情は、緊張しているせいか、少し表情が硬いように見える。
(うわぁ…………かなチー、めちゃくちゃ綺麗……)
花婿の前に辿り着いた奏と父親は、怜に一礼すると、新婦は新郎の腕を取り、祭壇の前へ進んだ。