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夜の街の灯りがぼんやりとビルの谷間を照らしていた。人通りは少なく、風が冷たく肌をかすめる。
SHKは影のように静かに立ち、SMの反応を観察していた。
細かい動き、微かな呼吸の乱れ――その一つひとつが手の内に収まる感覚が、彼を軽く笑わせる。
「怖いか?」
低く、落ち着いた声。言葉自体は単純だが、含まれる意図が厚い。SMの体が一瞬硬直するのを、SHKは逃さなかった。
彼はさらに一歩近づき、距離を詰める。
「嫌なら逃げればいい。…でも、逃げないんだろう?」
その声に、SMの胸の奥が微かにざわつく。恐怖と期待が入り混じる、その感覚がSHKにはたまらなかった。
少しずつ、じわじわと、相手の心の隙間に入り込む。
SHKは笑みを浮かべながらも、それがただの笑顔ではないことを知っていた――これは心を操るための武器だ。
SHKはSMの耳にかかる髪の毛を、指先でそっと撫でる。
触れる距離はほんのわずか――それだけで、相手の心臓の速さが手に取るようにわかる。
「…どうしてそんなに震えるんだ?」
囁くように言うSHK。
「だ、だってさ…」
SMは小さく震えながら答える。
言葉を探すように目を逸らすが、逃げることはできない。
その不安げな視線を見て、SHKは微かに笑った。恐怖を楽しむわけじゃない。ただ、心の奥まで届く感覚が心地いいだけだ。
「____」
言葉は軽い。でも背後には相手の感情を縛り付ける力がある。
「そ、そんなこと…」
SMは小声で返す。肩を小さく震わせ、何を言えばいいのかわからない。
SHKは少しだけ間を置き、相手の視線を強制的に引き寄せる。
「安心しろ。…でも、俺から目を離すなよ」
その声には命令の色が含まれていて、SMは息を呑みながらも、思わず頷くしかない。
「……う、うん…わかった…」
SMの声は震え、戸惑いと恐怖が混ざっている。
街の灯りが二人を包む中、SHKは自分の掌の中で相手の心をそっと動かす――恐怖と期待、混ざり合った感情が、静かに、しかし確実に支配されていくのを楽しみながら。