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24話 今月の紙芝居ニュース
夜
焚き火の明かりが
弱く揺れている
ふっくらは
丸い体を地面に落ち着け
短い脚を折って座る
手には
開けたばかりのお菓子袋
目は
紙芝居の枠に向いている
琶が
紙を一枚取り出す
大きな体
長い首
重なった鱗
畳まれた翼は動かず
爪だけが
紙をそっと押さえる
最初の一枚
絵が
雑だ
線がゆがみ
色がはみ出し
何が描かれているのか
すぐにはわからない
ふっくらは
首をかしげる
次の一枚
文字が
曲がっている
まっすぐではなく
斜めに
ふらふらと並ぶ
ふっくらは
思わず口にする
「……だれが描いたの?」
琶は答えず
次の紙をめくる
爪の動きは
いつもどおりだが
紙のほうが
ついてきていない
描かれている出来事は
読めるようで
読めない
形が崩れ
影が変で
意味がつかめない
ふっくらの手から
お菓子が少しこぼれる
拾わないまま
紙を見続ける
最後の一枚
一行だけ
曲がった文字で書かれている
「きろくがかかないので
わたしがやります」
ふっくらは
瞬きをする
「……誰?」
琶は
紙を静かに伏せる
記録係が
辞めたらしい
理由は
書かれていない
紙芝居は
終わる
焚き火の光が
ゆっくり揺れるだけだ