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あべさく正義♡
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アイドルとは、夢を与える職業である。
常に品行方正で居ることを心がけなきゃいけないし、熱愛報道なんて以ての外。
俺もみんなの夢を壊さないよう、常に細心の注意を払って生活してるんだけどさ……
それでも、どこからか不穏な話が漏れたりだとか、周りをマスコミが張ってたりだとかで妙な報道が出ることもある。
大体身に覚えのないことだから、自分のことなら堂々として否定すりゃいい。
メンバーでそういう話が湧いてくれば、必要なら話し合いもするけど基本はSNSとかで反応したりもしない。
外野が騒げば騒いだ分だけ、事が大きくなってしまうものだから。
と、まあ……ここまで清廉潔白なアイドルっぽい事を言いましたけども。
実は俺、お付き合いしてる人が居るんだよね。
相手はその……国宝級イケメンとか言われてる、後輩で、メンバーの内のひとりで、同性…………なんだけど。
もちろん、付き合ってる事を大っぴらにはしてないよ?
もし外に漏れれば、メンバーにも事務所にもスタッフさんたちにも迷惑がかかっちゃう事は想像に難くないしさ。
でも時々、言っちゃいたい時はあるんだよね。
このカッコよくて優しくて気遣いも出来てちょっぴり天然で可愛い男は、先輩でメンバーで同性の男にベタ惚れなんですよーってさ。
――相手に熱愛報道なんかが出ちゃった時には、特に。
「なぁ〜、蓮。いい加減顔見せてよ〜」
「むり……しにたい」
「わああ!?ダメダメ!!生きろ!!」
「佐久間くんに顔向け出来ない……つらい……死んだ方がマシ……」
「だから死んじゃダメだってばぁ!ってかさ、そこまで落ち込むことじゃないだろ?いつもの感じでちょっと熱愛報道されただけじゃん!」
ドラマや映画に引っ張りだこな、俺の彼氏――
蓮が、熱愛記事を書かれた事は一度や二度ではおさまらない。
その度に決して焦らず騒がず、淡々と『ただの共演者です』と否定してきた訳だけれど。
今回は何故か、いつもより落ち込み方がすごかった。
メンバー全員でのバラエティ番組収録があるこの日、広い楽屋にはまだ俺と蓮しか居ない。
記事がWebニュースに出たのが1日前のこと。
事務所も本人も対応に追われているだろう中、蓮は真っ先に俺のとこに連絡してきてくれた。
『佐久間くん、俺の事、信じてくれるよね?俺には佐久間くんだけだって!』
「ん、分かってるよぉ。この記事だって、いつものやつじゃん。ちょっと仲良さげに話してるだけで熱愛だとかなんとかさ」
『別に仲良く話してもいないよ……ただ、帰る方向が一緒だからってタクシー相乗りしただけ。自分の車で送った訳でもないのに!』
「アハ、分かった分かった、落ち着きなって。大丈夫だよ、今回の騒動もすぐ収束するだろうし。何より俺だって蓮が大好きだからさ」
『うん。……ありがと、佐久間くん。……でもさ、』
「ん?」
『正直な気持ちを聞かせて欲しいんだけど。……やっぱりちょっとはムカついたりする……よね?』
どこか心配そうに聞いてくるもんだから。
こう言ってやったんだよな。
「あったり前じゃん!隙見せてんじゃねぇよバーカ!って思ってるよ!」
(あー……もしかしてあれが、悪かったかな)
でも、正直に言えって言われたんだし。
ムカつこうがなんだろうが、蓮と別れる気なんて更々ない。
ちゃんとそれも伝えて電話を切ったんだけど。
翌日、楽屋で顔を合わせるなり、蓮は眉をハの字にしてそのまま長テーブルに顔を突っ伏してしまい……今に至るという訳だ。
「ねー、蓮?顔見せてってば」
「佐久間くんに嫌な思いさせて、どんな顔すればいいか……」
「だから、いつも通りで居ればいいんだって。昨日言ったでしょ?何があっても蓮を信じてるよってさ」
「ううー……どうせなら、佐久間くんと熱愛!って出れば良かったのに……」
「いやいやお前、それはそれで大変なことになるからね!?」
「……佐久間くんは俺と噂になるの嫌?」
「バーカ、嫌な訳ねぇだろ。この国宝級イケメンは俺の彼氏なんです!って触れ回りたいくらいだわ」
俺がそう言うと、蓮の肩がぴくりと震えた。
顔は見えないけれど、きっとニヤニヤしてる。
可愛いヤツめ。
ぽんぽん、と頭を撫でてやると、蓮がその手を掴んで自分の顔の下へ引き込んだ。
甲にチュッと柔らかな感触。
……顔見せずにちゅーするとか、器用なヤツだな。
「れーん」
「共演者にこんなこと言うのアレだけど……そもそもあの人、グイグイ来すぎでちょっと苦手だし……」
「あー……俺もトーク番組で一緒になる事あったけど、確かにそんな感じだったわ」
「……まさか佐久間くんも口説かれたの?」
怖い怖い!
声が怖い!
掴まれた手に噛みつかれるかも、と心配になってきて、慌ててそこから引っこ抜いた。
「口説かれたってゆーか、めっちゃくちゃご飯に誘われただけ!女性と2人では無理ですってお断りしたよ?」
「そこは、恋人が居るからって言って欲しかった……」
「いやいつの話だと思ってんの。お前と付き合うずっと前の話よ?って言えるかそんなん!別の騒ぎになるわ!」
俺が喚けば、まだ顔を上げずに笑う蓮。
ちょっとだけご機嫌も直ってきたんだろうか。
というか、きっと相手は選り取りみどりなのに、どうしてこんなにも俺の事を好きになってくれたんだろう。
しかもちょっとばかし心配になるレベルで、だ。
好みのタイプだったとか?……いやいや、そんなまさか。
(そういえば、ちゃんと聞いた事なかったなぁ)
「ね、蓮」
ちょいちょいと蓮の背中をつつく。
「ちゃんと聞いたことなかったけど……お前の好みのタイプってどんな子なの?」
「…………」
俺の言葉を聞いた蓮が、顔を突っ伏したまま呟いた。
「……俺よりちっちゃくて」
「うん」
まあそうね、大体の女の子はお前より小さいよね。
「目が大きくて真ん丸で」
「うん」
昨日出た熱愛記事の相手は確か、ちょっと切れ長クール系の目だったなぁ。
「唇がツヤツヤで」
「うん」
最近の子はグロスつけてる子も多いし、大体ツヤツヤしてそうだけど。
「いつも元気で周りも明るくなって、口を大きく開けて笑うとこがほんとに可愛くて」
「……うん」
あれ、なんか…………
「茶髪も銀髪も金髪も似合うけど、なんといってもピンクがほんとに最高に似合ってて」
「………………」
俺じゃん
「お前さぁ、ほんと……俺のこと大好きだねぇ!?」
「好きだよ。大好き。佐久間くんしか好きじゃない」
うーん、激重。
でも、そこがいいんだよなぁ。
そこまで愛されてて、嬉しくない訳ないじゃんね?
俺はニコッと笑うと、もう一度蓮の頭をぽんぽんした。
「ね、蓮。ほんとにそろそろ顔見せて」
「…………」
「確かにモヤッとしたけど、それは蓮の事が大好きだからだよ」
「…………」
「ほら、蓮ってば。……俺、そろそろ蓮とちゅーしたいんだけど?」
「…………!」
その途端ガバッと顔を上げるのが面白い。
クスクス笑う俺の手を、蓮の大きな手が握る。
「俺もしたい」
「うん」
「佐久間くん、ごめんね」
「もういーってば。そんな怒ってないよ。ヤキモチは妬いたけど」
「うん……嬉しい」
「ヤキモチが?重くね?」
「全然。重いのは大歓迎だよ。佐久間くん限定だけど」
「俺、マジで愛されてる〜」
「愛してるからね」
まるでバカップルそのものの会話をしながら、ゆっくりと顔を近づけていって……――
「おおい、こらーー!!どこまでやるつもりだバカップルが!!」
突然背後から聞こえてきた声に、俺たちは揃って振り返る。
そこには照と深澤、阿部ちゃんが呆れ顔で立っていた。
「あれ、いつの間に来てたんだ?」
「ついさっきだバカタレ!」
「声かけたんだけどね」
「つーかさ、お前ら……誰が来るか分からない楽屋で、イチャつくなって言ってるよな?俺もふっかも、何回も口酸っぱくしてるよな?」
「あー……いや、ねぇ」
「全然気づかなかった……」
蓮と2人寄り添って、モニョモニョと口ごもる。
照は怖い顔で腕を組み、深澤は眉を吊り上げ、阿部ちゃんは苦笑を浮かべた。
「お前らマジで自重しろ?イチャつくならお互いの家でやれ、な?」
「もしくはもう、発表しちゃう……とか?」
「それはマズイだろ!とんでもねー騒ぎになるぞ」
「むしろ、お祭り騒ぎになりそうな気がするけどね。めめさく尊い!みたいな」
「いや、それでも駄目だろ」
「とにかく!ルールは守れ!いいな!?」
「……ひゃい」
「ごめんなさい……」
照にダメ押しの一喝をされ、肩を竦める。
3人が着替えに向かう背中を眺めていると、蓮が俺の唇に掠めるようなキスをした。
「おまっ……」
「大人のちゅーは後で、ね?」
懲りねえヤツだなぁ、と思いつつも、自然と口元が緩む。
「2人きりになったらね」
小さく囁き返して、小指を絡ませた。
――キスなんかで終わんなかったのは、言うまでもない。
*****
もう一方のやつが図らずも連載っぽくなってきたので、単発のを書きたくなりました。
めめさく尊い。
コメント
1件
うわあああめめさく尊すぎて泣いた!!😭💕💕 冒頭から「実は付き合ってる人がいるんだよね〜」ってポップに言い放つ佐久間くんにいきなり心臓わしづかみにされたし、蓮くんの激重感情マジで好き……「俺よりちっちゃくて目がまん丸で」からの気付きの流れ、天才か??「俺じゃん」で声出たわww 照たちに怒られても小指絡めて「大人のちゅーは後で」って……頭おかしくなるほど尊いんだが!?!?バカップル万歳!!続き絶対ください切実にお願いします🥺🌸