3.消えるまで
花火は次々と夜空を彩る。金、青、赤――光の粒が海面に反射して揺れている。
その美しさの中で、美咲は横目で遥斗を見た。
「……ねぇ、どうして今日、急に誘ったの?」
遥斗は少しだけ間を置いて、笑った。
「東京、来月には出るんだ。今度は長く戻れないと思う。だから……最後に、約束を叶えたかった」
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
涙が込み上げそうになり、必死に上を向いた。
でも、花火の光と一緒に、目の縁が熱く滲んだ。
「ずるいよ……そういうこと、花火が終わる前に言わないでよ」
「ごめん。でも、君と見る花火が、一番綺麗なんだ」