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神への反逆者第一章 雫ノ音
第弍話 神害
人間はなぜ騙すのだろう。
なぜ神など信じるのだろう。
なぜ大人は其れに信仰をするのだろう。
「なんで君も騙すの?」
目の前の黒髪の女の子に聞く。
「ひっ..来ないで!」
「なんで..」
「お前の近づいたら神様に連れてかれるんだぞ!こっち来んなよ!」
「え..?」
「ッ!やっと見つけたぞ!」
大勢の大人が僕を囲み込んできた。
「ぁ..ぇ..」
「やめて!やめてッ!」
「助けろ!たすけッ!」
大人に押さえつけられ暴れ、抵抗したが所詮15歳。大人には敵わない。
教会の控室らしきところで捧げ物専用の服装を渡された。
「着たく無い」
僕はそう思った。椅子に座る。向かいには花束がいくつかあった。
トケイソウ。スイレン。ラバテラ。アングレカム。タツナミソウ。
どれも信仰、祈り、捧げ物、奉仕など嫌な花言葉。
「なぁ神様..僕を助けろよ…?」
なぜ皆が神を崇め奉っているのかは地球が滅びかけてた時代に遡る。貧困以前の問題だった。乾いた地面。そこには食べ物も寝る場所も、水も土も火も草も何も無い。人類には絶望しかない状況であった。そこに神と名乗る輩が現れたのだ。その神は草、火、水、知識、技術を数多くの物を与えた。そこから神のことを崇め、捧げ物を供え、教会が出来上がってきた。
━━その為信仰心が強くなってしまったのだ。果物、国宝、食べ物、植物。捧げ物が貧相だと教会の人間が言い始め、
『子供を捧げればいいのでは?』
こんな案が浮かばれた。それに賛成するものは多く、各教会の区間内の村から一ヶ月に1人子供を生贄とする方針になった。それからと言うもの選ばれた子供は教会で祈りの終わりに必ず死んでいる。
「死んじゃうのか…」
足音が聞こえる。
「やばい..着替えないと!」
「終わったか?」
同じ格好をした大人達が入ってくる。
「はい。」
大人達と色が違う白い服装。
「うむ。じゃあこの花束を」
「はい」
死んだ目になっていく。もう直ぐ死ぬからあまり関係ないだろうが。
そのあとは祭壇前まで大人に連れてかれた
「天にまします我らの父よ、願わくは御名を崇めさせたまえ。」
“祈り”が始まってしまった。
「御国を来たらせたまえ。御心のみ天になるごとく地にもなさせたまえ。」
死ぬのか?
「我らの日用の糧を今日も与えたまえ。我らに罪を犯す者を我らが許すごとく、我らの罪をも許したまえ。」
嫌だな..
「我らを試みにあわせず、悪より救い出したまえ。」
嫌だ
「国と力と栄とは限りなくなんじのものなればなり。」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「アーメ..」
その瞬間だった。
大きな音を出してステンドグラスが大きなハンマーを持った1人の男によって割られたのだ。
「何!?」
「結界は!?」
大人が焦っている最中割った本人が僕の前に立った。
「よぉ生贄くん!」
「だ..れ?」
今の僕の顔はどうなっているのだろう。
安堵。悲しみ。屈辱。復讐。
いや、希望だ
大人達が神を信仰する理由がわかったよ。
希望。希望を見つけたんだ。
絶望の中、生きる気力を失っても希望が現れた瞬間生きる気力を取り戻し、希望を支えていきたいと思えたからだ。
「質問だ。」
目の前の三つ編み少年が言う。
「ここから抜け出したいか。それとも潔く生贄として死ぬか、どっちがいい?」
「もし抜け出したいなら俺の手を取れ。そしたら必ず」
「ここから出してやる。」
そう言って手を僕の方へ手を伸ばしてきた。
僕はなんの躊躇いもなく手を取った。その時僕の顔は笑いながら泣いていた。
「お願いだよ」
「ああお安い御用だ。」
「生贄が取られた!」
「捕まえろ〜!!」
あちこちから銃やナイフやらを持ってきている奴が集まる。
「ははッ!そんなんで俺を殺す気?」
「舐めんなよ。」
物凄い殺気が溢れ出てくる。
多くの教会の人間は恐怖で足が動かなくなっている。
「今のうちに行くぞ。」
「え?」
僕は姫抱きされ、三つ編み少年に掴まった。
「舌噛むなよ。」
「はい!」
靴に電撃が走ったようになり、飛んだ。割られたステンドグラスから飛んで出て行く。
「クソ!また神害か!反逆者め!」
「外に聖騎士がいるはずだ!」
「でもまだ来ないぞ!」
「なぜ!」
教会の中が混乱している間レン達はキリのところへと向かう。
「あの..名前は?」
「俺?神害強欲組のレンだよ。」
「僕は、」
「“綴”だっけ?」
「なんで..」
「裏情報!♪」
「…ありがとうございます。」
「いいよ。俺も助けられた1人だから。」
「そうですか。」
「レーンちゃん!」
「キリ。準備は?」
「ばっちぐー!」
「よし。」
「ワープするぞ。」
光に包まれ、隠れ家へ着く。
「ここは..」
キリがドアを開ける。
「ようこそ。」
「反逆組織神害へ」
「ッ!」
「おんや?ミト〜!ツヅくん来たで〜」
「本当か?」
(この人偉い人?)
「よろッ!仲良くしようぜ!」
(偉い人なの..かな?)
「よろしくなツヅ!」
「うんッ!レンくん!」
「うるさいわね…」
「ごめんて!」
新しい登場人物
飢兎綴
生贄服
黒版が宗教服
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