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みずき
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急に蓮に「好きだよ」なんて言われても、すぐに信じることが出来なかった。だってさ、ついこの間まで俺なんて眼中になかっただろ。
だからささやかな抵抗をしてみたけど、蓮はどこか穏やかな顔で受け止めて。
最後には「捨ててくれて構わない」なんて言いやがった。
俺が蓮を好きで苦しいなんて言ったから。
だから、苦しむくらいなら蓮への気持ちを捨てても構わないんだって。
ばかじゃねえの、マジで。
普通さ、好きな相手には気持ちを返して欲しくなるもんだろ? それを捨ててもいいって何だよ。
…何で、もっと好きになっちゃうようなこと言うんだよ。
蓮の事が愛しくて、もっと近付きたくて。気付いたら俺の方からキスをしてた。
「そんな簡単に捨てられるわけないだろ…お前が思ってるよりずっと、こっちは片想い拗らせてるんだからな」
「佐久間く…」
「…苦しくても痛くても…それが蓮のくれるものなら、全部欲しいよ」
そう言いながら蓮の首筋に頬を擦り寄せると、結構な力でべりっと引き剥がされる。
驚く間もなく後頭部を固定されて、唇を重ねられた。そのまますぐに唇の隙間から舌が捩じ込まれて絡めとられる。
「…っん、ゃっ…んぅ…っ」
「っは…ん…っ」
口腔内を隈無く探られて、気持ち良さにどんどん腰の辺りが重くなってく。息が上手く吸えないせいもあってクラクラしてくる。
それでも容赦なく舌を絡めたり吸い上げたり散々貪られて、足から力が抜けてしまった。崩れ落ちそうになった俺の腰に腕を回して、蓮がぐっと俺のことを引き寄せる。
まだ続くのかよって思ったけど、頭の中まで蕩けそうになっていてもう何も考えられない。
どのくらいそうしてたのか、ようやく満足したらしい蓮が唇を離した。
いや、その後も頬や瞼、首筋にキスを落としてたから満足はしてないのかも…。
息も絶え絶えで自分にぐったりと凭れ掛かる俺を見て、蓮が溶けそうな顔で微笑んだ。
「佐久間くん、とろとろになってる…可愛い」
とろとろどころじゃねーわ! と思ったけど、とてもじゃないけど喋れそうになくて。蓮にしがみついたまま、何とか息を整える。
そんな俺の様子を見ていた蓮が、背中と腰に回した腕で強く抱きしめてきた。
「ごめんね、佐久間くん…俺多分こうやって時々暴走すると思う…」
「……暴走の自覚あったのかよ」
真剣な口調でそんなことを言う蓮がおかしくて、突っ込みながらつい笑ってしまう。
こんな顔面して、普段はクールっぽく振る舞っておいて。俺に『蓮のくれるものなら全部欲しい』って言われただけで、こんな突っ走っちゃうのかよ。
お前マジで、いつの間にそんなに俺のこと好きになってくれてたの?
「…笑わないでよ、自分でもびっくりしてるんだから。何でこんなに抑え効かないのかなって」
「抑えようとしてこれなのかよ」
「そうだよ。……呆れてるでしょ」
少し身体を離して蓮の顔を覗き込むと、その口調と同じくどこか拗ねたような顔をしてる。
何ていうかさ、ものすごく。
「可愛いな、蓮」
「…佐久間くんにだけは言われたくないんだけど」
「いいじゃん、めちゃめちゃ可愛いんだから。俺のこと本当に好きになってくれたんだって思えて嬉しいし」
俺がそう言うと、蓮の目が軽く見開かれた。それから、恐る恐るって感じで口を開く。
「……俺の『好き』、信じてくれるの」
あれだけ濃厚なキスをしておいて何言ってんだ、こいつ。
そうは思ったけど、ついさっきまで信じられなかったのも本当。
だから、蓮が『受け入れられた』ってすぐに信じられないのも仕方ないのかもしれない。
だからさ、改めて心底思った。
「…マジで可愛いな、お前」
「だから止めてって…」
「いいだろ。好きな奴が可愛いのなんて当たり前なんだから。可愛い、蓮。大好きだよ。…ずっと、ずっと好きだった」
「佐久間くん…」
「蓮にとっては、あの夜は間違いでしかなかったと思うけど…俺には大事な夜だったよ」
そう言って笑って見せると、蓮の手が俺の頬に伸びて。知らぬ間に流れ出した涙をそっと拭ってくれた。
そのままちゅっと軽い音をさせて唇が触れ合う。
「…今は俺にとっても大事だよ。覚えてない部分が惜しいくらい」
「ふはっ、蓮のスケベ」
「しょうがないでしょ、佐久間くんが好きなんだから」
「ん、そうだな…」
今度は俺からキスをして、そのまま蓮の首にぎゅうっと抱き着いた。蓮も抱きしめ返してくれて、その心地良さにうっとりしながら耳元で小さく囁く。
「……じゃあ、今度はちゃんと覚えてて」
その直後にまた足腰が立たなくなるようなキスをされて。
ふらつく身体を蓮に支えられながら帰宅した自宅で、あの夜の記憶をなぞりながら蓮に抱かれた。
あの日と違うのは、たくさん好きって言えた事。たくさん、好きって言ってくれた事。
幸せ過ぎて涙が止まらなくなった俺に、蓮が何度も何度も優しいキスをくれた事。
これからもずっと、こんな夜を一緒に過ごしていこうって蓮と約束した事だった。
コメント
5件

あ……🖤自分で暴走機関車だって自覚あったんだ( ´Д`)=3 🩷は次の日仕事大丈夫だったのかな?でもお互いが同じ気持ちだって自覚したから2人して歯止めがきかないかも( ´Д`)=3
第40話、読み終わりました……もう、心臓が持たないです(笑) 「苦しくても痛くても、蓮のくれるものなら全部欲しい」って佐久間くんの台詞、あまりに真っ直ぐで痺れました。それで蓮が暴走しちゃうのも納得の可愛さですよね。 「信じてくれるの?」って聞く蓮の不安と、それに応えて「ずっと好きだった」って伝える佐久間くん……お互いがお互いをこんなに大事に思ってるのが伝わってきて、涙が出そうになりました。 水瀬さん、本当に素敵な第7話をありがとうございます。ふたりの幸せな夜の続きが、これからもずっと続きますように🌷