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クリスマスから軽井沢に行くために頑張った仁さん‼︎素晴らしい✨そしてクリスマスまでキス止まりで綾子さんが受け入れてくれるまで待ってくれた誠実で優しくて昭和な親父ギャグが大好きな仁さん❤️光江さんからお墨付きももらって綾子さんも仁さんに全てを委ねる事ができたね🥰 今日は貴方に首っ丈の🧣をプレゼント🎁これは〜仁さんも喜びそう😍そして綾子さんにも素敵な💍を準備済😙❤️さぁ理人君も一緒にお祝いしようね🥂🧸🎶
2人は既に大人のカップル🥰🥰🥰綾子さんの事大事に思い遣りを持ちながら接する仁さんさすがに紳士だわ。教会で出会った70歳位の方もしかして神父様で2人の結婚式の神父様になるとか?🐻のぬいぐるみを置いて行くって事は今日は,理人君の母の部分は置いて1人の女性綾子として仁さんに向き合う決意したんだねー🥹🥹🥹
昭和なイケオジ 仁さん、思った通り プロポーズして 受け入れて貰うまでは 決して彼女に手を出さないし 嫌がることは絶対にしないのですね....🥺💓 光江さんのお墨付きどおり、紳士的で優しくて 誠実、きっと綾子さんを幸せにしてくれますね🍀 もうプレゼント交換&プロポーズが楽しみすぎてドキドキ....😍💝 早く明日になぁ~~れ‼️🙏♥️✨💍✨ 二人にとって、最高のクリスマスになりますように💏💖⛄️🎄✨
それから仁はクリスマスまでの間毎週軽井沢にやって来た。
一週目は綾子と美術館巡りをした後ディナーへ行き、二週目は日帰りで来たのでランチとカフェ。
そして三週目も日帰りだったので道の駅の蕎麦屋とカフェ。
最近の仁は『依子さんのディープな恋』の打ち上げや新作ドラマの打ち合わせ、それ以外にも雑誌のインタビューや取材など小説以外の仕事が一気に押し寄せている。
どの業界も年の瀬を迎え年末進行の時期になっていた。
仁は年末にゆっくりやる予定だったコラムやエッセイの仕事も前倒しでどんどん片付けていく。
とにかくクリスマス前までには全てを終わらせておきたかった。
仁がこんなに一生懸命頑張っているのはクリスマスイブから年明けまでを綾子とゆっくり過ごす為だ。
二人は会う度にどんどん打ち解けていった。
綾子は仁に対して緊張する事なく普通に話せるようになっていたし、仁の方も会えば会うほど綾子に惹かれていく。
付き合い始めて間もない二人なのに傍から見たらもうすっかり普通のカップルのように見えていた。
この日仁は銀座での用事を済ませると高級ブランドが建ち並ぶエリアを歩いていた。
今日仁は綾子に贈る婚約指輪を買うつもりでいた。
これまでの会話から仁はしっかりと綾子の好きなブランドを把握していた。そしてその巧みな話術で難なく指輪のサイズも聞き出している。
「綾子の指細いよねー」
「そんな事ないです」
「いや、かなり細いと思うな―、薬指のサイズは7号くらい?」
「フフフそんなに細くはないですよ、私身長があるから結構太いんです」
「んじゃ8号?」
「いえいえ」
「あ、9号か」
「はい」
「細いなぁ。俺は節が太いからかなり太いぞー」
「男の人はみんな太いでしょう?」
「まあそうかな。アウトドアをやるようになったら余計に太くなってさー」
「ああ、山登りとか?」
「そうそう」
こんな感じであっさりと聞き出す事に成功する。
(さーて、綾子ちゃんの指輪を買いに行きますかー)
仁は女性からの絶大な人気を誇る高級ジュエリーショップへ入って行った。
一時間後仁はショップ袋を手にして店から出て来た。
仁が選んだエンゲージリングは1.5カラットは軽く超える上質のダイヤで形はオーソドックスなブリリアンカットだ。しかしそれだとあまりにも味気ないのでアームがパヴェダイヤで埋め尽くされているものを選んだ。とても豪華なリングだ。
エキゾチック美女にはこのくらい華やかな方が似合う。
仁は納得出来る買い物が出来たのでご気分良く自宅へ戻って行った。
一方綾子も仕事の帰りに珍しくアウトレットへ行った。そこで仁へのクリスマスプレゼントを探そうと思った。
いくつものメンズショップを見て歩いた後、綾子は最初に入った店で見つけたマフラーをプレゼントに選んだ。
全体がグレーで一部がチェックになっている遊び心のあるお洒落なデザインだ。
上質なカシミアはとても肌触りがいい。仁は黒系のファッションが多いのでグレーなら合わせやすいだろう。
プレゼントを買った後今度は自分の服も見る事にした。
別荘にある綾子の服はどれもカジュアルな物ばかりでクリスマスディナーに着て行けるような服は一着もない。
だからクリスマスに着る服をここで探そうと思っていた。
いくつかの店を見て歩いている時、綾子はある店のショーウィンドウに飾られている服に目が留まった。
それはオフホワイトのニットワンピ―スで綾子が好きなタイプのデザインだった。
胸元はカシュクールで少し深めに開いているがクリスマスの夜なら違和感はないだろう。背中側も少し深く開いていてとてもセクシーだ。綾子は少し遊び心のあるこういうワンピースが昔から好きだった。
試着してみるとあつらえたように綾子にピッタリだった。
V字に開いた胸元では仁から贈られたネックレスが良く映えている。
(うん、これにしよう)
綾子はそのワンピースを購入した。
久しぶりにワンピースを買った綾子は嬉しくてときめいていた。
買い物から帰ると夕食と入浴をサッと済ませてから刺繍を始める。
最近すっかり刺繍の魅力に取り込まれている。一針一針丁寧に針を刺す事に集中していると何も考えないから不思議だ。
自分の思考が『無』になるので過去の嫌な事も思い出さずに済むしフラッシュバックも起きない。
東京にいた頃に刺繍に出会っていたらあの辛い時期ももう少し楽だったのではとも思う。
以前作っていたエンジェルの刺繍は先週完成した。途中仁へ贈る刺繍を優先したので後回しになっていたが漸く完成して今はリビングの壁に飾っている。
そして新たに綾子が選んだキットは可憐な花々が咲き乱れる花畑の向こうにポツンと教会が建っている絵柄だった。
教会は近くにあるアントニン・レーモンドの教会にそっくりだった。『エンジェル』のプロフィール写真にもなっているあの教会だ。教会の周りに咲き乱れる花々が優しい色合いなのも気に入っている。
最近刺繍のコツがわかってきた綾子はこのキットを作り終えたら次は刺繍の絵柄を自分でデザインしてみようと思った。
そこで一旦刺繍の手を止めると綾子は仁と最後に会った日の事を思い出す。
仁は毎週綾子に会いに来てくれた。
仁は決して急かす事はなかった。いつも軽井沢を訪れると食事やドライブに行くのがお決まりのコースだった。
別れ際にはキスをしたがそれ以上の事は求めて来ない。
しかし最後に会った時仁はこう言った。
「クリスマスイブはホテルに一泊しよう」
(一泊って事は…つまりそういう事よね?)
綾子は仁の言葉に少し緊張する。
もちろん綾子はこれまでBFや恋人がいた時期もある。
松崎とあんな事になる前はボーイフレンドもいたしきちんと付き合った恋人もいた。
しかし男性とホテルへ泊まるのはかなり久しぶりなのでどうしても緊張してしまう。
なぜあえて仁は綾子に告げたのか?
クリスマスデートの自然な流れでホテルへ行くというのならまだしもなぜ仁はわざわざ前もって綾子に言ったのか?
そこには彼の意図のようなものが見え隠れしていた。
仁は綾子が松崎により強引にホテルへ連れて行かれた事を知っている。そして綾子はその事で辛い思いをした。
だからあえて綾子に言ったのだ。
『ちゃんと自分の意志で俺のところへ来いよ』
仁はちゃんと綾子に選択権を与えているのだ。嫌だったら断りなさいという逃げ道を残してくれている。
そして仁の元へ来るのなら綾子が後悔しないように自分の意志で来て欲しいと思っているのだろう。
(フフッ、普段はふざけてばかりなのにこういうところには気遣いがあるんだから)
綾子はそんな仁の優しさが嬉しかった。
(大丈夫よ。自分の意志で彼の元へ行くわ)
綾子はそう決心すると再び刺繍に集中した。
そしていよいよクリスマスイブがやって来た。
この日仁が東京を出るのは午後からだと言っていた。午前中どうしてもはずせない仕事があるらしい。
だから軽井沢に到着するのは夕方だろう。
綾子はゆっくりと朝風呂に入り風呂から上がると念入りにボディクリームを塗る。
午後3時頃まではいつものような休日を過ごしたが3時を過ぎると出掛ける準備を始める。
髪は毛先をカールさせ少し華やかな雰囲気を出す。そして化粧はいつもよりも念入りにした。
アイメイクはきっちりと印象的に、そして唇にはいつもより多めにグロスを塗る。
最後にお気に入りの香水をほんの少し着けて完成だ。
支度が終わると綾子はもう一度旅行バッグの中をチェックした。その時ソファーにあった小さなクマのぬいぐるに目が留まる。それは理人のお気に入りのぬいぐるみだった。綾子は少し迷ってからそのぬいぐるみもバッグに入れた。
「今日は理人も一緒に行きましょう」
綾子は理人の写真に向かって語りかけながら微笑む。
それから綾子はコートを着て仁が迎えに来るのを待った。
5分後家の前に車に車が停まった。それと同時に綾子の電話に着信が入る。
「もしもし?」
「着いたぞー、早く出て来ーい」
「はーい」
綾子が外に出ると仁は綾子の家の駐車場に車を停め運転席から出て来たところだった。
「車を置いて行くの?」
「いや、ホテルに行く前にちょっと教会に行ってみないか?」
綾子は途端に笑顔になる。
「うん、行きたい」
そこで仁は両手を広げるとギュッと綾子を抱き締める。
「会いたかったぜー」
「運転お疲れ様でした」
「綾子と聖夜を過ごす為に必死で働いて来たぞー」
「フフッお疲れ様」
「ハハッ、その笑顔が見たくて頑張ったんだぞー」
それから仁は綾子の旅行バッグを受け取ると車に積み込む。そして二人は手を繋いで教会へ向かった。
普段この時間はあまり人通りがない道にチラホラと歩いている人がいた。
教会のイルミネーションを見に行った人だろうか?
「礼拝に参列する人もいるのよね?」
「うん。俺は幼稚園がクリスチャン系だった」
「私は幼稚園から小中高までクリスチャン系だったわ」
「お嬢様学校かー」
「フフッ」
教会の前に到着すると中からは聖歌が聞こえてきた。優しい歌声はクリスマス気分を一層盛り上げてくれる。
目の前には教会を飾るように少し控えめなイルミネーションが光っている。
「綺麗ね……こういう優しい雰囲気のイルミネーションって素敵」
「カトリック系だとあまり華美にはならないからいいよね。イルミネーションっていうのは本来はこうあるべきなんだろうなー」
「うん、そう思う」
「綾子、そこに立ってごらん。写真を撮るから」
「え? ここ?」
「もうちょっと右、そうそこそこ」
そこで仁が綾子の写真を何枚か撮る。仁のスマホに向かって微笑む綾子はまるで天使のようだ。
その時70歳前後のシルバーヘアの男性が仁に声をかけた。
「お二人でお撮りいたしましょうか?」
「え? あ、すみません、じゃあお願いします。綾子、一緒に撮ってもらおう」
そこで二人は教会をバッグに並んで立った。仁が綾子の腰に手を回して引き寄せる。
「はい、チーズ。念の為もう一枚、はい、チーズ」
男性はニコニコしながら仁にスマホを返す。
「ご親切にありがとうございました」
「いえいえ、メリークリスマス! 素敵な夜を!」
男性は二人に会釈をすると教会の中へ入って行った。
「親切な方ね」
「うん。もしかしたら神様の化身だったりしてな? クリスマスイブの夜は何が起こっても不思議じゃない!」
「まさか!」
「いや、もしかしたらサンタクロースかもしれないぞ? みんなが良い子にしているかどうかサンタさんが見に来たんだ」
「フフッ、なんか絵本も書けそうね」
「んじゃ今度は絵本作家を目指すかなー」
「フフフ」
「ハハハ」
そして二人はもう一度教会のイルミネーションを眺めてから教会を後にした。
車へ戻ると仁はいつものように助手席のドアを開けてくれる。
「自分で乗れるわ」
「いやいやそうはイカの塩辛ですよ」
「フフッ、今夜は昭和のオヤジギャグからスタートですか?」
「おっとそうだった、クリスマスイブくらいはロマンティックにしないとだな」
そこで仁は綾子の手を取ると綾子を見つめてうっとりした表情になる。
「今日は一段と綺麗だね。でもコートを着ているからファッションチェックが出来ねーな」
「後のお楽しみよ」
「仕方ねぇ我慢するか。ではお嬢様どうぞ」
仁はうやうやしく綾子を助手席へ乗せるとドアをパタンと閉める。そしてすぐに運転席へ戻るとエンジンをかけた。
車を発進させる前に仁は急に真面目な顔をして綾子に聞いた。
「今日は本当にいいんだね?」
その言葉が何を意味しているか綾子はすぐにわかった。
「はい」
「ありがとう。じゃあ行くとしますか」
そして車はホテルへ向かった。
真っ暗闇の中車はヘッドライトを灯して走り始める。
どこのホテルへ行くのだろうと思っていると仁が綾子を連れて行ったのは2年前にオープンしたホテルだった。
規模は小さいホテルだがオープン当初から高級ホテルとして話題になっていた。もちろん綾子は一度も来た事がない。
ホテルのコンセプトは『別荘で寛ぐようなリラックス感を』というものでホテルの建築には長野産の木材がふんだんに使われている。そして室内やロビー、廊下に至るまで個性的な現代アートがいくつも飾られている。
館内のアートを見て歩くだけでもとても楽しそうだ。
ロビーには吊り下げ式の暖炉があり山小屋風のインテリアが寛ぎ感を増す。
仁は今日このホテルのスイートを予約してくれていた。
大人の隠れ家的なホテルを見て綾子は一目で気に入った。
「素敵! 高級感があるのに凄くリラックス出来そう」
「初めて来たけど他にはない個性的な感じがいいな。それにアートが沢山飾ってあるから綾子も楽しめるね」
「うん、こういうの好き。後で全部見て歩いてもいい?」
「もちろん」
チェックインを済ませた二人は部屋に向かった。
低層階のホテルなので二人のスイートは三階にあった。
部屋へ入り荷物を置くと仁はすぐに綾子を抱き締める。
「会いたかったぜー」
「先週会ったばかりなのに?」
「一週間も会えないなんて地獄だ」
「私もよ…会いに来てくれてありがとう」
綾子が素直に言ったので仁は満足そうに頷く。そして一度身体を離してから綾子をまじまじと見つめる。
「コートを脱いだ姿を見せてくれ」
仁はそう言いながら綾子のコートのボタンを一つ一つ外していく。
そしてコートを脱がせるとホーッとため息をついた。
「凄く綺麗だよ、綾子」
「ありがとう。今日は少しオシャレをしてみました」
「君はオフホワイトが良く似合う。まるで天使だな」
「天使が白とは限らないけれど?」
「いや、俺のイメージでは白だ」
「そうなの?」
「今日も天使ちゃんを着けてくれたんだね」
「うん、だってこれは私のお守りだから」
「俺が贈った物をお守りって言ってもらえると大感激だな」
「本当にお気に入りなのよ」
「そうか。じゃあもう一つお気に入りをプレゼントしようかな?」
「何?」
「恒例のクリスマスプレゼントさ」
「あ、私も用意して来たわ」
「よし、じゃあレストランで物々交換といきますか」
「じゃあ私も持って行こうっと」
綾子は旅行バッグからプレゼントの入った袋を取り出す。
その時バッグの片隅にある小さなクマのぬいぐるみに気付いた。
綾子は一瞬ためらっていたが意を決したようにぬいぐるみを取り出した。