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「ほ、ほんとに……亀だ……」
俺たちはついに、“山亀”と呼ばれる魔物の首元付近に到達していた。
まさかとは思ってたけど、マジで山が動いてるんだが!?
これ、地形じゃなくて生き物なんですけど!?
……と、冷静に解説っぽく語ってるけど――
俺はいまだにお姫様抱っこされたままです。
そう、宙に浮いてるんです。
しかも足はぷらーんと宙ぶらりん。
しかもしかも、解説ナレーションしながら運ばれてるという、超絶にかっこ悪いポジション。
解説系ヒロインかよ……!
「今はユキ達がうまくやってくれて山亀が停止してるが、いつ動き出すかわからない」
「……キール、その……何度も言うけどさ。
アオイさんを抱えたままだと、動きが制限されるだろ?
ここまで来るのにも、魔力吸われながら結構戦ってきたんだし――そろそろ交代しないか?」
「……」
「……ガキか」
「なんだとエス!!」
お、おい待て、俺がいる前でその会話はマズいだろ!!?
それ、完ッ全に聞こえてるからね!?
え、何?俺が“足手まといです”って公式に発表されたってことでOK!?
やめてよぉぉ……!
抱えられてるだけでも情けないのに、
上から“この荷物そろそろ交代しようぜ”って感じに扱われるの、つらぁ!!
「だが、確かにリュウトの言う通りだ」
そういってキールは俺を渡す……
いや、渡す、って何!?
いや確かに今、俺、地面に触れてないし。
抱えられたままふわっとリレーされてるから、その表現で正しいんだけども!
「あ、あの、重かったらごめんね?」
「いえいえ!そんなことないですよアオイさん」
「じゃあ、行くぞ」
「アオイさん、しっかり俺に掴まっててください」
「えっ、あー、うん……あの、だいたい察したけど――落とさないでね?」
「もちろん」
「そりゃ頼もしいぃぃいいいいいぃいいああああああああああぁぁぁ!!」
3人と、お荷物1人は、何百メートルもある崖の上から飛び降りた。