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21 - 第5章 ひかりのキャンディ 第21話 夜の花のひみつ

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2025年08月19日

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お兄ちゃんは、まだ布団から起きあがれなかった。でも、お母さんの前では「大丈夫」って笑おうとする。

その笑顔がかえってせつなくて、

わたしはどうにかしたいと胸の奥で強く思った。


そのとき、おばあさんが広場でこんな話をしていた。

「十年に一度の星のおまつりのころ、森の奥に“ひかりの花”が咲くんだよ。

 その蜜でつくったキャンディは、弱った体をあたためてくれるってね」


わたしの耳はピンとたった。

──ひかりの花。

それがあれば、お兄ちゃんは少しでも楽になるかもしれない。


夜になって、わたしは家の窓からそっと外へ出た。

森はまっくらで、木の影が大きな怪物みたいに見える。

でも、胸の中の「お兄ちゃんを元気にしたい」という気持ちが、

こわさを押しのけてくれた。


森の奥へ行くと、やがて小さな光が点々と地面を照らしていた。

近づくと、それはつぼみのような花だった。

まだ開いていないけれど、まるで心臓みたいに「とくん、とくん」と光っている。


「これが…ひかりの花?」


わたしがしゃがんで手を伸ばすと、

花のまわりに金色の粉がふわっと舞った。

星の粉だ。

女王さまの気配がまた、近づいてきている。

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