TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

海洋高校−物語は波のように−

一覧ページ

「海洋高校−物語は波のように−」のメインビジュアル

海洋高校−物語は波のように−

22 - 第18話「揺れる波域票(期末の波域再判定日)」

♥

15

2025年08月15日

シェアするシェアする
報告する

第18話「揺れる波域票(期末の波域再判定日)」
登場人物:カシワ=トノハ(草属性/2年)・波域判定官ナキジ=エン(澄属性)




カシワ=トノハは、目立たない草食の生徒。

葉のように広がる髪は緑がかった茶色で、制服の袖がやや長め。

内向的で、日々静かに波域手帳を埋めていた。


今日は**「波域再判定日」**。

教室に配られた波域票には、あらかじめ入力された共鳴データが並んでいる。

変質記録、授業内共鳴率、海食祭での行動傾向、そして――


感情のゆらぎ。




「自分の波域が、“変わった”ってことですか……?」


「変わったというより、“今の波に合ってるほうに動いた”と考えてください」


判定官のナキジ=エンは、澄属性特有の透明な髪を肩で束ねていた。

目は水面のように静かで、だれにも怒鳴らない。




「でも、僕はずっと草属性だったんです」


「草属性なのは事実です。ただ、“草属性のまま波域が変わる”こともあります」


「……意味がわかりません」


「それでも、あなたの波は――揺れていますよね?」




波域票の一番下に書かれていたのは、こうだった。


> ※あなたの「感情のゆらぎ」は現在、波属的傾向に偏りが見られます。

本人希望と齟齬がある場合、次週までに調整相談可。






その夜、カシワは迷いながらも手帳を開いた。

今週、自分が記録した「自分の感情」はこうだった。


・正しく怒れなかった

・誰かに声をぶつけたかった

・自分の声の余韻が気持ちよかった


ページをめくるたびに、

草のようにただ根付いていた自分が、

波のように「誰かに届きたい」と揺れていたことを知る。




「波域が変わるってことは、今の自分が変わってるってこと」

そう呟いたとき、心のどこかで、小さな共鳴が生まれていた。



海洋高校−物語は波のように−

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

15

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚