テラーノベル
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丘から帰ってきた夜、わたしは窓辺にすわって、
今日見た空の「粉の道」のことをずっと考えていた。
お兄ちゃんはもう寝ていて、
お母さんは台所で明日のスープの準備をしている。
家の中はしんとしていて、
虫の声だけが外から聞こえていた。
そのときだった。
窓の外を、きらりと光る何かが通りすぎた。
「あっ!」
慌てて窓をあけると、
ふわり…ふわり…と、星の粉が舞い込んできた。
粉はわたしの手のひらにそっと落ちて、
じんわりあたたかくなった。
そして──
『ミナ』
あの、やさしい声がまた聞こえた。
「星の女王さま…?」
『ええ。あなたが見た光の道は、星の国とこの村をつなぐもの。
粉は、その道しるべになるわ』
わたしは息をのんだ。
「じゃあ、この粉をたどれば…」
『いつか、そうね。でも、そのためには
あなたの手で集めなければならないの』
「集める…?」
『花の光も、卵のかけらも、
そしてあなたが出会う、ほかの宝物たちも──
すべて粉を呼ぶ力を持っているの』
その言葉が終わると、
粉はそっと手から離れて、
また夜空へと舞い上がっていった。
わたしは両手を胸にあてた。
星の粉を集める…
それが、星の女王さまに会う道なんだ。