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「へえー、そうなんですか? それでは、おばさん。私たちはクーラーというものを探しに行ってきますね」
「ひょっとして、音星。クーラー知らないのか?」
「ええ。うちは、団扇派なんです」
「……ひょっとして、それってシャレ?」
「ぷっあはははははは」
「それでは……」
「おばさん。じゃあ、夜には帰るよ」
俺は初めにクーラーボックスを売っている店を探した。クーラーボックスならアウトドア用品を売っている店にあるな。八天商店街の真ん中辺りに、けれども、スポーツ用品店が目に付いた。
あれ? スポーツ用品? そうだ! クーラーバッグだ! ここならクーラーバッグがあるかも知れない。
……うん! 入ってみようか。
喫茶店と電気屋に挟まったこじんまりとしたスポーツ用品店に入ると、早速、クーラーバッグを探した。
スポーツバックの棚に置いてあるクーラーバッグを見つけ。中身を覗いて頷いた。これなら、氷や冷えたジュースに、それにアイスもいいな。それを入れれば十分だ。
今日の夜には帰らないといけないし、早めに地獄へ行かないとな。
さて、今度は氷と冷たいジュースとかだ。
それなら、菓子屋かコンビニにあるぞ。
八天商店街で全部揃うだろう。
もう、夏の日差しが赤身がかってきた。夕焼けが西の方に広がっていた。
近くの菓子屋へ入ると、ドア付近のアイスショーケースで幾つかアイスを取り出した。冷えたお茶やウーロン茶なども買うと、店のレジへと行った。
店からでると、音星が指差した商店街の角を指差した。
「火端さん。たくさん買いましたねえ。それでは……あそこの角から」
「ああ、シロ用の冷たいミルクも買ったんだ」
「それはそれは」
「ニャ―」
ちょうど、日蔭の裏通りへと繋がるところだった。俺と音星は行き交う人々の間を縫って、街角へと行った。シロものこのことついて来てくれた。
「ここならな」
俺はリュックサックをその場に置いて、代わりにクーラーバッグを携えた。リュックサックはここに置いておいても、まあ、帰って来るまで盗まれることはないだろう。
音星はそこで、用意した手鏡をこちらへ向ける。
手鏡から光が急に照射されると、俺は眩しいので目を閉じた。
――――
しばらくして、グツグツとした釜土の音と、ジューッとする人型の魂の焼ける音が、至る所から耳に入ってきた。
周囲の高温で瞬く間に大汗を掻き出す。
俺は目を開けた。
火のついていない釜土がすぐそばにあった。
ここは叫喚地獄だ。
周辺からの悲鳴がけたたましい。
殺生に加えて、邪淫、飲酒と偸盗《ちゅうとう》という盗みを働いた人々が高温の煮え湯で、焼かれる凄まじい光景だった。