コメント
0件
(真一郎)「……あ、桜……」
(紗代子)「ぐずっ……」
(真一郎)「……巫女様、ほら見て」
(真一郎)「桜が舞っている。」
(真一郎)「綺麗だね」
(真一郎)「巫女様と一緒に見られてよかった。これで行ける……」
(紗代子)「そんなことを言わないで……」
(紗代子)「照太郎……どうして……」
照太郎の亡骸を抱きしめて泣いた。
(真一郎)「……巫女様、こっちに来て」
(紗代子)「……」
言われた通りに真一郎のそばに行った。
(真一郎)「もう泣かないで」
(真一郎)「ほら、笑って」
(紗代子)「真一郎」
(紗代子)「お願いだから私のそばにいて」
(真一郎)「……ごめんね」
(真一郎)「もう行かないと」
(紗代子)「真一郎……!」
(真一郎)「初めて出会った時、覚えてる?」
(紗代子)「うん、あなたは怖がってて私の服をしがみついていた。」
(真一郎)「その事をよく覚えてるよ」
(紗代子)「懐かしいね」
(真一郎)「……巫女様」
(真一郎)「俺の目を見て」
(紗代子)「どうしたの?」
(真一郎)「俺はもうすぐに死ぬ。」
(真一郎)「だから最後に言われてくれ」
(紗代子)「ええ」
(真一郎)「俺はあなたのことが好きだった」
(真一郎)「初めて出会った時から」
(真一郎)「あなたの優しさを見惚れてた。」
(真一郎)「恋をしていたんだあなたを」
(真一郎)「でも、叶わない恋だった。」
(真一郎)「巫女としてのあなた。」
(真一郎)「その壁が高く乗り越えることが出来なかった。俺があなたのそばにいることだけ。それが俺の出来ることだった。」
(真一郎)「せめて叶うことならば」
(真一郎)「あなたの夫となって」
(真一郎)「あなたの支えとなりたかった」
(真一郎)「それはもう叶わない夢。」
(真一郎)「……もしいつか巡り会えたら」
(真一郎)「初めて出会った時のように」
(真一郎)「俺の事を見つけてくれますか?」
(紗代子)「……!」
(紗代子)「見つけてやるよ……」
(紗代子)「何年経っても……」
(真一郎)「……その言葉を聞けて安心した。」
(真一郎)「巫女様、いや、紗代子」
(真一郎)「あなたのことが好きだった。」
(真一郎)「愛してる。」
(真一郎)「どうか生きて欲しい。」
最後に私にキスをして息を絶えた。
(紗代子)「真一郎……真一郎!」
(紗代子)「真一郎!」
(紗代子)「ありがとう……愛してくれて」
(紗代子)「ごめんね、気づけなくて」
(紗代子)「……あなた達の分まで生きる」
(紗代子)「生きるから見守っていて。」
真一郎の亡骸を抱きしめて泣き続けた……