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立川通りを南下、日野橋交差点を左折した時、美花が口火を切ってきた。
「あ、そういえば、おにーさんの車って、Lの車だよね?」
「ああ、そうだが……。それが…………どうかしたのか?」
圭は、ステアリングを掴みつつ、美花がどんな言葉を続けてくるのか、耳をそば立てる。
「Lの車のCM曲って、カッコいい曲が多いんだよねぇ。いつだったかなぁ? もう相当前だけど、女性ボーカル入りのドラムンベースの曲が使われてて、メチャクチャカッコいいんだよねぇっ」
「ドラムンベース? それは……音楽のジャンルか?」
「大まかにジャンル分けをすると、ダンスミュージックになるのかなぁ? 複雑なリズムを刻むドラムと、重低音が効いた唸るようなベースの音が特徴、と言えばいいのかなぁ。あのCM曲を聴いて、私もドラムンベースの曲を作ってみようと挑戦したけど、詰んじゃった……ふふふっ……」
クスリと笑いながら話す美花だが、彼女の考える事は、DTMや音楽に変換されるらしい。
(やはり彼女は…………初めて会うタイプの女だ……)
圭の運転する車は、国立府中インターチェンジに入ると、中央高速道路に乗り、秋の風を切りながら新宿方面へ向かう。
美花は穏やかな表情で、秋色に覆われ始めた景色を、車窓越しに見やっているようだった。
中央高速道路から首都高速四号線に入り、途中、中央線と総武線と並行して走行する、黒の高級SUV車。
外苑の出口で首都高速四号線を降りた後、信濃町駅の側を走っていくと、コインパーキングを見つけた圭は、車を入庫させる。
「着いたぞ」
圭はシフトレバーをパーキングに合わせ、シートベルトを外すと、車を降り、助手席側のドアを開けた。
「あ……ありがと。ここって……?」
「ここは神宮外苑。ちょうど紅葉し始めた頃だし、銀杏並木が綺麗なんだ。ほら、足元に気を付けろよ」
彼が美花に手を差し出すと、彼女は恐るおそる圭の手を取り、車を降りた。
異性からこんなエスコートをされたのが初めてだったのか、美花の頬に赤みが差し、瞳を伏せている。
「外苑に来るのは、初めてか?」
「うん。都内にこんな景色があるなんて…………初めて知ったよ」
「なら、少し歩いてみよう」
言いながら圭は、美花の小さな手を取ると、キュッと握りしめた。