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#読み切り
ruruha
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誰にも効かない単語
一覧の中で、
その言葉だけが静かだった。
付与可能。
購入済み。
だが、
反応なし。
机に肘をつき、
画面を見つめる。
薄手のグレーのシャツは肩で止まり、
袖口は少しほつれている。
前髪は目にかかり、
指で払った跡がそのまま残っている。
唇は乾き、
無意識に噛んでいる。
もう一度、
触れる。
レキシリーダは沈黙する。
振動も、
引っかかりもない。
失敗したのかと、
一瞬思う。
他の言葉に触れると、
確かに反応がある。
流れ込む感覚。
位置が変わる感じ。
戻る。
その単語だけが、
変わらない。
効かない。
拒まれているわけでもない。
ただ、
動かない。
指を離しても、
言葉はそこにある。
削除もできない。
売却もできない。
最初から、
こうだったのかもしれない。
付ける前と、
付けた後の区別が、
つかない。
それでも、
存在している。
一覧を閉じると、
画面は暗くなる。
内側には、
何も起きていないはずなのに、
その単語だけが、
はっきり残る。
効かないからこそ、
手を加えられないまま、
ここにある。
レキシリーダを伏せる。
誰にも効かない。
それでも、
確かに、
自分の言葉だった。