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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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イルヴァは当然の結果に満足しつつ、少しの間思案した。僅かに違和感が残っている⋯⋯あのうるさかった狸はどこだ? ずっとあのガキに貼り付いていたはず⋯⋯さっきの連撃で死んでいるのならいいが、それらしい死体もない。一体どこに⋯⋯。
フッとアステルの身体がぼやける。そのまま霧のように霧散してしまった⋯⋯。
(! 幻覚魔術か! ということは⋯⋯)
「そうくると思っていたよ!!」
ズパッとイルヴァの首に刃が迫り、頬を掠めた。攻撃を喰らってしまったことにイライラしつつ、『黒空』で追撃を避ける。頬を撫でると、指に僅かな血がついた。面倒くさそうに修復すると、斬撃の主を確かめる。
「ナイス『幻牢』だぞー、カグア! まずは一撃ぃ!」
「いやいやいや、今のうちに逃げればよかったんですよ! なんで攻撃したんすか! 今おれなんかの魔術が効いたのも、油断してたからか、ほとんどまぐれだったからなんすよ!?」
「だって、まだやることが残ってるし⋯⋯」
「えぇ⋯⋯とにかく、もうおれの魔術は効きませんぜ! 後はアステル様でなんとかしてくださいよ!?」
イルヴァを襲ったのはカグアが得意とする、精神属性中位魔術──『幻牢』で隠れていたアステルである。それを知ったイルヴァは、心底嬉しそうに笑った。
「ほう、お次は剣術か。なかなかに楽しませてくれるじゃないか、『天子』!」
「フン、こっちは必死だ」
そう言うと俺は、鞘から抜いた魔剣──ロゴスを構える。イルヴァが転移させてくる無数の刃を躱しつつ、高速移動で接近した。
ユウマの身体には、まだあの術式が残っているはずだ。その 記憶を見て、できる限り再現できれば⋯⋯!
クラリスと執事長の魔人は、激しい剣の乱舞を続けていた。
グレイレーゼ流長剣術──
ヴァルディア流大剣術──
真正面から激突し、互いの剣を受け流していく。
──『蛇咬連牙』!
──『封流返』!
クラリスの大剣での大振りの攻撃に対して、魔人は細い長剣を巧みに使い、懐に潜り込んでくるような戦い方をしてくる。使ってくるのは、乗っ取った執事長が使っていた『グレイレーゼ流』。暗殺に特化した剣術なのだ。蛇のように予測しにくい動きで、確実に仕留めに来ていた。
「⋯⋯なるほど、素晴らしい剣術ですね。やることは褒められたものではありませんが」
「フフン、そうだろう、そうだろう。この俺様の剣術にかなうものなぞおらんのだ!」
「⋯⋯アナタのではないでしょう」
「いーや、俺様のものだ! この肉体を奪ったその時からなぁ!!」
既にクラリスはいくつかの切り傷を負っているが、いつもの冷静さは健在である。あまりにも人間を舐めた態度に少しばかり苛ついていたが。
「本当にゲテモノですね。まぁ、いいでしょう⋯⋯現実というものを教えて差し上げますよ」
──人間の積み重ねた努力が、どのような力を持つのかを。
クラリスは大剣を担ぎ直して、腰を低くし構える⋯⋯。
「それはこちらのセリフだ! 魔人の恐怖というものを、徹底的に理解させてやろうぞ、メイドォ!!」
──ヴァルディア流抜剣術──『静・一閃』
「ええぃ、キリがねぇな! 一撃で倒さねぇとすぐ回復しやがる!」
フランを主力に、ミオンも兵士から槍を借りて戦っている。
「おいコラ、ルカ! 迷ってんじゃねぇぞ! 覚悟決めろや!」
「っ⋯⋯」
ルカは剣で魔人の攻撃を防ぎながら、ずっと葛藤していた。この者たちは仮にも人間だったのだ。できれば精神を助けてやりたい。だが、その手段がないのであれば⋯⋯。
「フォフフォーフ!」
「ばっかやろー、後ろだ!!」
「っ⋯⋯!?」
氷の足枷から逃れた1体の魔人が、ルカの背後に回っていた。ルカは観念したように剣を握り直す⋯⋯が、霧の中からフワリと現れたシオンが、その魔人の首を絞めてしまった。魔族ではないので、肉体を完全に殺せば魔人は死ぬ。そのまま魔人は白目をむいて倒れていった。
ルカは目を見張りながら、シオンを見つめる。不思議に思ったシオンは、首を傾げながら話しかけた。
「⋯⋯? どうしたんだ、幽霊でも見たような顔をして」
「あ、あぁ、すまない。突然現れたから、天使かと」
「ヒヒッ、『天子』はアステル様だろ。ワタシは地下暮らしのモグラみたいなもんだよ⋯⋯シオンだ。油断してたら、すぐに殺されるぞ?」
「っ、だが、この者たちは⋯⋯」
そこまで聞くとシオンはルカの言葉を遮る。彼は既に覚悟を決めていた。
「なぁ、ルカ⋯⋯様、だっけか? アンタ、優しすぎるよ⋯⋯ユウマに似てる。真っ先に死ぬタイプだ。諦めてくれよ⋯⋯コイツらはもう救えない。元の魂はもう⋯⋯死んでるんだよ、そうだ」
「⋯⋯その、『ユウマ』というのは⋯⋯いや、ありがとう、シオン」
そう感謝の言を述べると、ルカは手を組んで詠唱を始める。唱えるは、『最上位』の──。
──天に轟くは、神の咆哮。
地に穿つは、天罰の槍。
逃げ場は要らぬ。
慈悲も要らぬ。
この地に、神の声を響かせよ。
轟け。
──雷属性最上位魔術──『神鳴天』!
詠唱と共に暗雲が沸き起こり、魔人たちの頭上から数多の落雷が発生する。身体を焼かれ、たちまち森に炎が移った。兵たちの指揮が一気に向上する。
「フラン、消火を頼む!」
「俺の相棒に命令すんじゃねー!」
「っ⋯⋯」
『最上位』を使った反動か、ルカはガクリとうなだれる。
「おいおい、大丈夫かよ!? さすがに『最上位』使うのは無茶だったろ」
「いいえ、ミオン兄さん。このくらいはせねば、僕の覚悟が決まりませんでしたから⋯⋯」
「フン、そうかよ! おう、野郎ども! ソイツらぜってー逃がすなよ!? 許しておくんじゃねぇぞ!!」
「「承知しました!!」」
ミオンは兵たちにそう命じると、ルカをモフの背に乗せる。そしてまた、フランと共に森を駆け抜けていった。
コメント
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わあ、今回もすごかったです……! イルヴァ相手にカグアの幻覚魔術で一矢報いるアステルたち、本当に必死で、胸が熱くなりました。クラリスの「人間の積み重ねた努力」という言葉、重かったです。ルカが最上位魔術を使う覚悟も、シオンとのやり取りも……ユウマを想う姿にじんときました。次が気になりすぎます!