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「そういえばなんで至る所にカボチャとかハロウィン系飾ってるの?」
さっきから気にはなっていたけど言わなかったこと。
「遅めのハロウィンにしようと思って!!」
「遅すぎでしょ…」
そう声を漏らすと
「ね、私も思った」
と海琴の声が返ってくる。
てかケーキ美味しい…
店開けるくらい。
それより…
「「なんでちょっとずつ食べてるの?」」
僕の声と海琴の声が合わさる。
「え?」
そんな中、畑葉さんは疑問の声を漏らす。
「古佐くんも思ったよね」
「うん」
「だって美味しいからすぐ無くなっちゃうの嫌じゃん…」
いつものように口を尖らせながらそんなことを言う畑葉さん。
それを見た海琴が『やばい、私あんたたちのオタクになりそう』なんて発言をする。
しかも僕にしか聞こえないくらいの声量で。
僕の誕生日会が終わってしばらく経ったある日のこと。
今日は休日で、
しかも畑葉さんによる呼び出しは無い日。
いや、もしかしたら今の時間帯に無いだけで午後になったら来るかもしれない。
そう思っていた僕の元に1つの通知音がスマホから鳴り響いた。
海琴から『話したいことあるからここ来て』とカフェのような名前と共にそんな一文が送られてきた。
「なんでわざわざカフェ…」
先に着いて1人で満喫してる海琴に向かってそう声を零す。
「だって喉乾いしてたし小腹空いてたし」
そんな答えを返される。
それはそっちの都合じゃん…
「しかも古佐くん、どうせ暇でしょ?」
「まぁ…」
「それで話って──」
「すいません〜、注文お願いします〜!!」
僕が口を開いたと同時に注文を頼もうとする海琴。
わざとなのか、はたまた偶然なのか。
僕がそんなことを考えている間にも海琴は様々なものを注文する。
「え、それ全部食べる気?」
「そうだけど?」
どんどんと運ばれてくる海琴が頼んだ注文の品。
それに驚きながらもそんなことを聞く。
畑葉さんとなら何も言わなかったが、
海琴は普通の人間だ。
いや、そう言ったら畑葉さんが人間じゃないみたいに聞こえちゃうか…
「なんかさ〜、凛って妖みたいだよね」
「え?」
「何?」
心の内を見透かされたような質問が飛んできて、思わず疑問の声を漏らしてしまう。
「だってさ〜、時たま不思議な笑みを向けるんだもん」
「なんか不思議だし〜妖って感じ…」
手で頬を支えながらそんなことを言う。
「古佐くんもそう思わない?」
「まぁ、思うけど…」
「だよね?!」
急に声を上げないで欲しい。
一気に人目の不安が高まる僕。
「まぁまぁ、誰も見てないって〜」
なんで心読んでくるんだよ…
こういうとこ本当に畑葉さんと似てる…
「あ!!あれ松井っちじゃね?!」
松井っち。
生徒の間で人気の先生の名前…
って、松井先生がここにいるってこと?!
そう思い、身を少し縮める。
そんな僕を見て海琴は
「うっそぴょ〜ん!!」
と言いながら大笑いする。
酷い。
本当に酷すぎる。
悪魔め。
「そう睨むなって〜」
「それで話したいことなんだけどさ」
「うん」
急に真面目な雰囲気を醸し出す海琴。
今からミステリー解決みたいな雰囲気。
『犯人はお前だ!!』なんて言いそう…
「古佐くんって凛のどこが好きなの?」
「へ?」
予想外の事を聞かれ、思わず変な声が出る。
「どこ?」
「うん、どこ?」
「えーっと…」
畑葉さんの好きなとこ?
そりゃあ全部が好きだけど…
「じゃあじゃあ、凛のどんなとこが “ 1番 ” 好き?」
僕が迷っていたせいか質問を少し変えてまたもや似た質問を聞いてくる。
「笑顔…かな?」
「なんで疑問形なの…」
確かに…
「そこははっきり笑顔が好きって言いなさいよ!!」
「ちょっ…声大きいって……」
机を叩きながら、しかも立ち上がりながら。
そう声を上げる海琴。
人目が一気に僕らに集まる。
しかも店員さんの鋭い目つきが僕にまで刺さってくる。
僕も一応被害者なのに…
『はぁ…』と心の中でため息を零す。
「他に好きなとこないの?笑顔だけ?」
笑顔だけじゃないけど…
てかなんで海琴はこんなこと聞いてくるんだ?
「…口を尖らすとことか、からかってきたと思ったら顔真っ赤にするとことか」
「…全部好き」
自分で言っててなんだか恥ずかしくなってくる。
「尊…」
「えぇ…?」
完全に僕をオタク仲間としか見ていないような…
それか単なるオタ活か。
「そんなに好きなら告白しちゃえばいいじゃん〜…」
海琴は畑葉さんのあの言葉…『好きにならないで』なんて言葉を聞いてないからこんなことを言えるのだろう。
でもその言葉を海琴に言うつもりは無かった。
無闇矢鱈に言いふらすのはあまりいい事じゃないし。
「…出来るわけないよ」
そう小さく呟くと
「ま、古佐くんは出来なさそうだしね〜!」
と返ってくる。
完全に今、僕のことディスってた…
偏見って恐ろしい…
「あ!!そういえばもうすぐクリスマスじゃん?!」
「うん、そうだね…」
「なんでそんなテンション低いのさ!!」
「もっと元気だして!」
そう言いながら海琴は僕の肩を励ますように叩く。誰のせいだと思って──
というか痛…
これが愛のムチ…
いや、違うか…