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マムラと言う男は夏に毎年訪れている男である。和幸と仲が良く、マムラが来ると和幸は歓迎している
西園寺と北里姉妹はマムラにとても懐いており夏に入ると会えるかな、と待ちわびている。しかし、清鈴は違った。マムラとは仲はいいが一つ線を入れているような遠くもないが近くもない心の距離があった。それに感ずいた春奈は清鈴に何故距離をおいてる?と言ってみたが清鈴は答えなかった。というよりかは答えれなかったに近かった。距離を置く理由はあるには はあるが変な理由だからだ。初対面の頃からマムラに抱えている違和感が距離を置く原因なのだ。
それは……
「マムラさんには生気を感じ無い」
提灯の飾り付けも終わり体力を持て余した西園寺と北里姉妹が暑い外で遊んでいる中、麻村と鐘有は自分がマムラに抱えている感情について話していた
「昔からずっとあの人が怖かったんだ。真夏の日なのに手は冷かったり、どこからともなく急に現れてきたり…何よりさっき言った生気が感じないっていうのが本当に怖くて……」
暗い顔をして言うので嘘ではないと感じる
「生気が無い…生きる気力がないってことか?それとも咲叉みたいに見えてるが人ではないみたいなやつか?」
「うーん……後者になるかな。と言うか麻村君はマムラさんをどう思ってるの?マムラさん見てた時驚いてたけど…知人なの?」
鐘有の質問を受け少し俯いてしまった。言いたい。今思ってる事を吐いてしまいたい。だが音がするのだ。麻村の頭の中に警告の音が。あの時鳴っていたのと同じ警告音が…多分、これを言ってしまうと大変な事になってしまうのだろう。大変とはどういう事かは詳しくは分からないが。しかし、スルッと言葉は出てきた
「似てるんだ。俺の母さんと」
「……え?」
予想外の発言だったようで鐘有はポカンとしている
「なんと言うか…その、目が似てるんだ。マムラさん特徴的な下まつげが3つあるだろ?母さんもさ、そうだったんだから思い出してな……後、笑う時も一緒だった。」
そして追い打ちをかけるように咲叉は麻村の叔父さんに似ていて特に目が似ていると言った 。それを聞いた鐘有は 固まってしまったがもちまえの頭の回転で何とか立ち直った
「えっと…それさ。もし、僕の言った…つまり、咲叉みたいにマムラさんは人間では無かったら…マムラさんは……」
言葉をこぼさないように口を結んだがまた開いてしまう
「マムラさんは君の先祖なんじゃない?」
「…………まぁ。そうなるかもな」
「いや、いやいや君。肝座りすぎじゃない?なんで冷静に居られるの?」
「いや、これでも俺はテンパっているのだが…」
「だったらもうちょっと顔にだそうよ…。君の先祖様が居るんだよ?しかもこの地域で祀っている人なんだよ?」
「お前は落ち着け。本当に俺の先祖なのかは分からないんだぞ?」
それもそうだね…と言い鐘有は落ち着き外で遊んでいる3人を見る。
「…………調べてみたくないか?」
「……………え?」
「あの二人は俺の先祖なのかを」
調べるにはそれなりの労力はいるだろう。何せ歴史の人物なのだから。だが調べてみたい。そんな気持ちが麻村の脳を支配している
「…どうやって調べるの?」
「普通に聞けばいいだろう?咲叉に」
「呼んだ?」
「うわっ!?」
丁度いいタイミングで咲叉が来た。相変わらずどこからともなくやってくるので鐘有は声を出し驚き、麻村は声は出てないが内心ビクついていた
「どうしたの?遊ぶ?私かくれんぼしたいな〜あっでもけん玉もしたい…」
「あぁ、どっちとも遊ぼう。でも、その前に聞きたい事がある」
「何〜?」
「貴方は俺のご先祖さまか?」
その言葉を聞き咲叉はさっきまで笑ってた顔がぬけてしまった。日本特有の夏の暑さのある今日だが、今この瞬間、ずっと南の南極の寒さになっていた
「……それを聞いてどうしたいの?」
無表情を貫く咲叉の顔にたじろいでしまった麻村だが何とか声をあげた
「…気になっただけだ。貴方と叔父さんが似ていてまさかと思って……」
「なら、良いんだけど」
ふいっと麻村から目線を外し何処かを見始めた。
「そうだね…うん。」
目線を麻村に戻し優しい笑みで話す
「ぼ…ううん。私は、貴方の先祖になるよ」
「やっぱり……」
「でもね、これ以上は教えない。例え知ったとしても…なんだから……だからね、好奇心を殺して、自分の事を考えて?」
「…あぁ、分かった」
深く頷き咲叉を見つめる。こうやってみると…やっぱり叔父さんに似ているな
「じゃあ…遊ぶ?」
蚊帳の外だった鐘有は声を出す
「そうだな…遊ぶか」
「うん。はやく3人の所に行こ!」
咲叉はさっきまでの話が無かったかのように汗だくになりながらも遊ぶ西園寺と北里姉妹の所へ向かう。咲叉を追うように麻村も歩を出すが
「麻村君。嘘つきだね」
「…何が?」
「君…咲叉に調べないって力強く頷いたのに調べようとしてるよね?」
「…………」
図星だねと言い鐘有は笑う。それはそうだろう。咲叉の顔みたか?あの人…
「すげぇ悲しそうな顔をしてた。」
知りたい。聖母のような顔をして、裏には何を隠し貫いているのかを
「そうだね…僕も共犯になるよ。僕も知りたいし」
「はっ共犯ってな……」
「そらぁそうでしょ。嘘つきは泥棒の始まりなんだから」
こいつの父さんに聞きたい。なぜ名前に「清」を入れたのか。彼の口は三日月に歪んでいた