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如月 未澄斗
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#刑事もの
鬼霧宗作
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第3話 予兆
満島凛一。
一年前、忽然と姿を消した少年。
事件性があるかどうかさえ判然とせず、今も未解決のまま残されている失踪事件だった。
坂田は資料を閉じる。
「一年前か……。」
もし橋本優太が関わっているなら。
三人の女子中学生殺害事件とは無関係とは思えない。
⸻
翌日。
坂田と藤堂は中学校を訪れていた。
目的はただ一つ。
満島凛一を知る生徒から話を聞くことだった。
「満島くんですか……。」
女子生徒が少し考え込む。
「優太くんとはすごく仲良かったです。」
「喧嘩は?」
「見たことないです。」
別の男子生徒も頷いた。
「小学校からずっと一緒だったらしいです。」
「毎日遊んでました。」
誰に聞いても返ってくる答えは同じだった。
“親友”
それ以外の言葉が見つからないほどだった。
⸻
放課後。
最後に一人の男子生徒が口を開いた。
「あの日もそうでした。」
「……あの日?」
「満島がいなくなった日です。」
坂田の表情が変わる。
「詳しく話してくれ。」
「授業が終わって。」
「満島が『今日は優太の家に行く。』って言ってました。」
「そのあと?」
「翌日、学校に来ませんでした。」
「家には?」
「帰ってません。」
空気が静まり返る。
藤堂が確認する。
「つまり最後に向かうと言っていた場所は。」
「橋本優太の家です。」
⸻
坂田たちは橋本家へ向かった。
母親は以前と変わらず、疲れ切った表情をしている。
「一年前のことを聞かせてください。」
「……。」
「満島凛一くんです。」
母親の顔色が変わった。
「その子なら……遊びに来ました。」
「何時頃ですか。」
「夕方だったと思います。」
「帰るところは見ましたか。」
母親はゆっくり首を横に振る。
「私は買い物に出ていました。」
「家には優太くんだけが?」
「……はい。」
「帰宅した時には?」
「もう誰もいませんでした。」
⸻
警察署。
坂田は一年前の失踪事件の資料を読み返していた。
ファイルの表紙には、大きく名前が記されている。
満島凛一 失踪事件
ページをめくる。
最後に目撃された場所。
『橋本優太宅へ向かう』
その一文で、坂田の手が止まった。
「最後に会った人物は……橋本優太。」
事件当時も事情聴取は行われていた。
しかし証拠は見つからず、事件は進展しないまま現在に至る。
坂田は資料を閉じる。
「偶然……とは思えないな。」
藤堂が口を開く。
「取り調べ、しますか。」
「いや。」
坂田は首を横に振った。
「まだだ。」
「まだ?」
「今聞いても、『分からない』で終わる。」
静かな口調だった。
「まずは一年前の事件を調べる。」
「橋本優太と満島凛一。その間に何があったのか。」
坂田は再び資料を開く。
写真には肩を組み、笑い合う二人の少年。
小学校からの親友。
その一人は、一年前に姿を消した。
「……満島凛一。」
坂田は写真を見つめながら呟く。
「君の事件が、この事件の始まりなんだな。」
その時だった。
資料の間から、一枚のメモが床に落ちた。
坂田は拾い上げる。
そこには当時の刑事が残した走り書きがあった。
『橋本優太──要注意。』
坂田はメモを握りしめる。
まだ何も分からない。
だが、一つだけ確かなことがある。
一年前、この少年の周囲で何かが起きた。
そして、その”何か”はまだ終わっていない。
コメント
1件
第3話「予兆」読了!📖✨ もうね、冒頭から背筋がぞわってした…「満島凛一」の名前が出た瞬間に空気が一気に変わったよね。橋本優太の親友だったっていう事実、しかも最後に向かった先が優太の家って…これは偶然じゃないよね絶対😭💦「要注意」ってメモも怖すぎるし、伏線の張り方がマジで上手すぎます如月先生!!続きが気になりすぎて今夜眠れないかも…次回も楽しみにしてます!🔥