「――っ、村尾」
俺と同じ驚きを纏った声音に、はっと我に返った。
すぐに詰めていた息を吐き、崩れていた姿勢を戻した。
「堤さん……どうも」
動揺を隠すように会釈する。
そんな俺の頭上で、堤が「お」と唇を窄めたかと思うと、
「おー!」
続けざまに、大きな声を放った。
「びっくりしたぁ、偶然だな!」
「はあ」
そうですね、と頷くが、堤は聞いていない。
拾った定期ケースを差し出しながら、肩をバシバシ叩かれる。
「どこのくたびれたサラリーマンかと思ったぞ、お前! もっとキビキビ歩けよ」
「放っておいてください……残業で疲れてるんですよ」
遠慮がない物言いの堤の手を払い除ける。
すると堤は、その手を顎に添えながら、思い出したように言った。
「ああ、インフルだっけか。お前も人がいいなあ、先輩の仕事手伝って残業なんて」 ***************
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