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チャイムが鳴ると、体育館には卓球部の部員たちが集まっていた。
「今日はここまでー! 1年生は片付けして帰れよー!」
顧問の先生の声が体育館に響く。
「はい!」
1年生たちが元気よく返事をして、ラケットやボールを片付けていく。
2年生の7人――あや、みく、まゆら、はるや、けいすけ、りゅうせい、れんとも、何食わぬ顔で片付けを手伝っていた。
だが。
1年生が全員帰った瞬間。
体育館の空気が変わった。
先生が近づいてくる。
「お前ら、今日も残るんだったな」
「はい」
部長のあやが答える。
「本来なら全部活5時半までだけど……校長から許可を取ってある。8時までなら体育館を使っていい。ただし、絶対に怪我するなよ」
「ありがとうございます!」
「無理はするなよ。先生は職員室に戻ってるからな」
「はい」
先生が体育館を出ていく。
扉が閉まる。
カチャッ。
しばらく沈黙。
そして――
あやがラケットを握り直した。
「……じゃあ」
その顔から、普段の柔らかさが消える。
「本気でやろうか」
「待ってました!」
みくが笑う。
「今日こそあやに勝つ!」
「無理じゃない?」
まゆらが淡々と言う。
「みく、昨日も負けてた」
「まゆら、それ言わないで!」
はるやが笑いながら卓球台の前に立つ。
「じゃあ今日は誰から?」
あやはボールを一つ取り出した。
「全員」
「え?」
「全員まとめて相手する」
「……は?」
けいすけが固まる。
りゅうせいが苦笑した。
「またそれやるの?」
「うん」
れんとがラケットを構える。
「じゃあ、やりますか」
次の瞬間。
あやの目が――
赤色に変わった。
「……始めよう」
バンッ!!
凄まじい音とともにサーブが飛ぶ。
「速っ!」
みくが反応する。
しかし。
「そこ!」
カンッ!
みくが打ち返した瞬間、目がピンク色に変わる。
ボールが不自然な軌道を描いた。
右へ。
左へ。
そして急激に落ちる。
「うわっ!」
はるやが飛び込む。
「甘い!」
青い目が光る。
時間を捉えるように動いたはるやが、ギリギリでボールを拾った。
カンッ!
「返した!」
「まだ!」
まゆらの目が黄色に変わる。
まゆらの放ったボールは、狙い澄ましたように台の角へ。
「そこか!」
りゅうせいが走る。
その目は――黄緑色。
体育館のどこにボールがあるのか。
どこへ落ちるのか。
全てを把握している。
「取った!」
ギリギリで返球。
しかし――
「もらった!」
けいすけの目が紫色に変わる。
ドンッ!!
強烈な球が飛ぶ。
「重っ!」
れんとがラケットを構える。
その瞬間、目がオレンジ色に変化した。
「なら――返す!」
カァンッ!!
凄まじい反発でボールが跳ね返る。
「うわ!」
「速すぎ!」
7人の間をボールが高速で行き交う。
普通の卓球なら、ありえない。
一秒間に何度もラケットが振られ、床を蹴る音が体育館中に響く。
そして。
「まだまだ!」
あやが笑った。
「もっと速く!」
「望むところ!」
みくが叫ぶ。
七人の目が、それぞれの色に輝く。
赤。
ピンク。
黄色。
青。
紫。
黄緑。
オレンジ。
その光だけが、誰もいない体育館を照らしていた。
――この力を知っているのは、7人だけ。
顧問の先生は知らない。
学校の誰も知らない。
そして。
この体育館で行われている卓球が、普通の卓球ではないことも――。
まだ、誰も知らなかった。
普段の学校生活。能力使っている。みんなにバレないように。体育。クラスはC組まである。あやとみく、まゆら、はるやはA組。りゅうせい、けいすけ、れんとはC組。もともと身体能力バケモン。先生にもバレたらいけない。続き話を書いて
第2話「普通の中学生を演じる」
翌朝。
学校にはいつも通り、生徒たちの声が響いていた。
2年A組。
「あや、おはよー」
「おはよう」
あやはいつも通り席に座る。
隣では、みくとまゆらが話していた。
一方、別の校舎では――。
2年C組。
「おはよ、りゅうせい」
「おはよ」
りゅうせい、けいすけ、れんとも普通の生徒として過ごしている。
7人には、学校で絶対に守っているルールがあった。
能力は、誰にも見せない。
もちろん、顧問の先生にも。
能力を使うと目の色が変わる。
だから、使うときは一瞬だけ。
周囲から見えないタイミングで。
そして何より――
もともとの身体能力が異常に高い。
能力を使わなくても、普通の生徒よりずっと速く動ける。
だからこそ、普段はそれを「運動神経がいい」で誤魔化していた。
体育の時間
「今日は体育館でバスケットボール!」
体育教師が告げる。
A組とC組、それぞれ体育が始まった。
あやたちは体育館へ向かう。
「今日はバスケか」
みくが小声で言う。
「能力使わなくても余裕だけどね」
まゆらが答える。
「でも、やりすぎると目立つ」
あやが注意する。
「先生にバレたら終わり」
「了解」
4人は普通の顔をして体育館へ入った。
一方、C組。
「今日バスケじゃん!」
れんとが笑う。
「俺たち、普通にやるだけでも目立つんだよな」
けいすけが苦笑する。
りゅうせいが周囲を見る。
「だから抑える」
「了解」
試合が始まった。
あやはボールを受け取る。
「おっ、あや!」
相手が迫ってくる。
あやは軽く横へ動いた。
スッ。
「え?」
相手が一瞬見失う。
「速っ!」
「あ、ごめん」
あやはわざと少し速度を落とした。
――危ない。
今のは普通より速すぎた。
「身体能力高すぎだろ!」
「たまたま」
あやは笑ってごまかす。
その直後。
みくがボールを奪う。
「みく、パス!」
あやへ飛んでくるボール。
しかし、少しだけズレていた。
あやは反射的に手を伸ばす。
一瞬だけ――
目が赤く光った。
ボールの軌道が完全に見える。
あやは自然な動きでキャッチ。
「ナイス!」
「ありがとう」
誰も気づいていない。
ほんの一瞬だったからだ。
C組でも。
れんとがボールを追いかけていた。
「れんと! そっち!」
「分かってる!」
ボールが大きく跳ねる。
普通なら間に合わない距離。
れんとは走る。
ドンッ!
床を蹴ってジャンプ。
ギリギリでキャッチした。
「すげぇ!」
「運動神経いいな!」
「まあね」
れんとは笑った。
能力は使っていない。
純粋な身体能力だけ。
それでも周囲からは驚かれる。
体育が終わった後。
廊下でA組の4人とC組の3人がすれ違う。
「今日、危なかったね」
みくが小声で言う。
「特にあや」
はるやが笑う。
「バレるところだった」
「……ごめん」
あやは小さく答える。
りゅうせいが周囲を確認する。
「でも誰も気づいてない」
けいすけも頷く。
「先生も気づいてない」
「なら大丈夫」
あやが前を向く。
「これからも――」
7人は同時に歩き出す。
「普通の生徒として過ごそう。」
その直後。
体育教師が廊下の角から現れた。
「おーい! さっきの体育、みんな動きよかったな!」
「ありがとうございます!」
7人は何事もなかったように返事をする。
先生はそのまま去っていった。
7人は顔を見合わせる。
そして――
誰にも聞こえない声で、あやが一言。
「……危なかった」
誰にも知られてはいけない。
7人が超能力を持っていることも。
コメント
1件
読み終えたよ〜🥀 第2話、すごく好き。体育館での全力卓球から一転、学校で“普通を演じる”7人の緊張感がめっちゃ伝わってきた。あやが体育でうっかり能力出ちゃいそうになるシーン、ドキドキした…! それぞれの色の能力もまだ詳しくはわからないけど、目の色が変わる描写が綺麗で、この先の展開がもっと気になる。仲間内では本気を出せるのに、外では隠さなきゃいけないもどかしさがじわじわくるね。続きも楽しみにしてる🖤
#ライトノベル
umaimon
4,234
ライラック💜💫【🎨🫧】
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