彼氏の掌が、スローモーションのように渚ちゃんに一直線に向かっていく。
――――いけない。
僕は気が付くと、野次馬を掻き分け追い切り地面を蹴り、渚ちゃんと彼氏の間に身体を滑り込ませると、彼氏の手首を思いきり掴んでいた。
「ダメだよ」
「は?……なんだよ、お前」
「たとえ何があろうと、男は女に手をあげたらいけないよ」
「お前には関係ねーだろ!」
「こんな人通りの多いところで別れ話を持ち掛けるから、関係ない奴に首を突っ込まれるんだろ。周りを見なよ」
やっと周りからの冷たい視線に気が付いたのか、激しく動揺し、あわてふためく彼氏を冷静に見つめる。何故か腹の底が冷え切ったような、自分でも思ったより冷静な声が出た。
「そうよ!女の子に手をあげるなんて最低な奴!」
「謝れよ!」
僕の言葉を聞いた野次馬たちは、やっと声だけで静止する者も現れる。彼氏はバツが悪そうに舌打ちをすると、僕の手*******************
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