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刻の碧律

100 - 第1話:始動、裏の仕事

2025年04月10日

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処理後チーム編


第1話:始動、裏の仕事




⚙️ シーン1:裏仕事、再び


風が乾いた砂を巻き上げる。そこは、かつて人間の都市だった場所――現在は無人地帯。


廃ビルの影に、三つの影が現れる。


ひとりは筋骨隆々、右腕が重機義手に置き換えられた男。

短髪で褐色の肌を持つ彼は、瓦礫を見下ろして叫んだ。


「久々っぺぇぇぇ! ここで仕事するのも、なんか懐かしいっぺな!」


――ゴウ。処理担当、豪快な兄貴分。碧の重機を背負う、力仕事のエース。


その隣では、細身で銀縁眼鏡をかけた青年が、手にしたスキャナーで地面をなぞる。


「熱反応なし……フラクタル残留反応もほぼゼロ。

でも“何か”がこの地をうろついてるっぺ」


――ギョウ。調査・解析担当。皮肉屋で冷静、都市の“死因”を探る男。


そして最後に、無言で歩くひとりの男。 マスクとキャップを深くかぶり、黙々と足元の安定杭を打ち込んでいく。


――キョウ。安全管理担当。言葉少なだが、誰より確実に危機を処理する。


この三人が《処理後人機械フラクタル化チーム》――通称「処理後」。 都市が“終わった”あとの現場を処理し、次の街の礎を築く“裏の仕事人”たちだった。




🧱 シーン2:瓦礫と杭


「すずか、上空マップ、再構成っぺ」


ギョウの呼びかけに、落ち着いた女性の声が返る。


「地形データ取得完了。過去の構造物と現在の崩壊位置を重ね合わせます。

周囲、構造崩落の危険性あり。警戒を推奨します」


――すずかAI。建築支援型のフラクタルAI。都市設計だけでなく、処理チームの作業補佐も担う。


「おーけーおーけー。そしたら、瓦礫処理するっぺ!」


ゴウが重機義手を唸らせ、崩れかけた壁を押し倒す。

そのたび、碧の光を含んだ砂が舞い上がる。


「……杭、打てるっぺよ」 キョウがぽつりと呟くように言い、静かに杭を構える。


ギョウが解析結果を確認しながら頷く。


「この土地、まだ“感情”が残ってる。 暴走フラクタルじゃなく、“誰かの念”に近いかもしれない」




⚠️ シーン3:干渉反応、確認


そのとき、ギョウのスキャナーがけたたましい音を立てた。


「……反応、来たっぺ」


瓦礫の奥から、青白く揺れる“歪んだフラクタル痕”が浮かび上がる。 杭が自発的に軋む。地面がわずかに脈動する。


「警告:未処理フラクタルの干渉痕検出。感情波との干渉レベル:B。対応を推奨します」


「……感情か、怒りか、未練か……どっちでも、俺たちがやることは同じっぺ」


ゴウが杭を構え、ギョウが共鳴範囲を計測し、キョウが即座に封鎖杭をセットする。


三人は言葉を交わさずとも、動きだけで次の一手を共有していた。


それが“処理後”――都市の裏を支える者たちの仕事だった。




街の記憶と感情が残る地に、再び杭が打たれようとしていた。

処理後の仕事は、静かに、確かに、始まっていた。



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