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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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 キャッキャとはしゃぐ美兎ちゃんの背を眺めながら、その眩しすぎる光景に感嘆の息を漏らす。



(これが、天使のたわむれというやつか……?)



 外に出てからというもの、美兎ちゃんの関心はすっかりと『山田さん』が独占状態でいささか邪魔ではあるのだが。こんなにも可愛らしい光景を見せてくれるのなら、潰れた不細工な顔も少しくらいは大目に見てやろうだなんて寛大な気持ちになったりもする。



(感謝しろよ、山田。いや……感謝するのは俺の方か?)



 それにしても、さっきからヒラヒラと揺れ動くスカートは、今にも捲れ上がってしまいそうでヒヤヒヤとする。

 ラッキースケベは俺としては勿論大歓迎なのだが、他の野郎には1ミリたりとも見せたくはない。



(見んじゃねぇ……! 見たら、ブッ殺すっ!!)



 通りすがりのサラリーマンにガンを飛ばせば、青白い顔をして足早に去ってゆく。



「瑛斗先生っ! 早く、早くぅ〜!」



 満面の笑顔で振り返り、俺に向けてヒラヒラと手招きをする美兎ちゃん。

 天国へのご招待にいざなわれ、ドスの効いた顔から一瞬で破顔させるとフラフラと宙を舞うように美兎ちゃんの元へと近付く。



「お待たせ。美兎ちゃん(マイ・ワイフ)」


「もぅ〜! ちゃんと着いて来てね?」


「ごめんごめん。ちゃんと着いてくよ(一生)」



 イチャイチャしながら、一人脳内で家族ごっこに励む。



(……最高かっ!)



 残念ながら子供の顔は少しばかり不細工気味だが、美兎ちゃんとの子供だと思えば不思議と愛しさが込み上げてくる。



(お前、よく見りゃ可愛いな……)



 そんなことを思いながら足元を見れば、美兎ちゃんの足首をペロペロと美味しそうに舐める山田。



(……。……やっぱお前、ムカつくっ!!)



 幸せ気分は即終了。



(俺のハッピータイムを返しやがれ……っ!)



 そう思ってガンを飛ばせば、ビクリと震えた山田が一気に走り出した。



「……きゃっ!」



 突然の出来事に、美兎ちゃんの手元から離れてしまったリード。首輪からリードを垂らしたまま、ダッシュで駆け抜けていく『山田さん』。



「ダメ〜ッ! 山田さんっ! 待ってぇ〜!」



 半泣きで『山田さん』を追い掛ける美兎ちゃんの横を通り過ぎると、俺は勢いよく仔犬に向かってダイブした。



(……っこの野郎。美兎ちゃんを泣かせるとは、いい度胸だな……)



 溢れ出る怒りを抑えつつ優しく抱き抱えれば、遅れて追い付いた美兎ちゃんが口を開いた。



「……瑛斗先生、ありがとうっ! 大丈夫!?」


「うん、大丈夫。はい、『山田さん』。もう離しちゃダメだよ?」


「……っうん。ごめんなさい」



 未だ半泣き状態の美兎ちゃんにそっと『山田さん』を返してやれば、愛おしそうにスリスリと頬を寄せる美兎ちゃん。



(……うん。そのご褒美俺が欲しかったわ)



 そう思って山田に目を向けた──その時。




 ────!!?!!?




「……っ、みず……っ!!?!!?」


「え? 水……? キャーッ!! 瑛斗先生、鼻血ッ!!」

 


 俺の鼻からタラリと垂れる鼻血を見て、一人アタフタと焦る美兎ちゃん。

 そんな姿を他所に、俺は目の前の光景を眺めて鼻の下を目一杯伸ばした。



(……グッジョブ、山田)



 俺は心の中で、山田に向けて称賛の親指を立てた。


 美兎ちゃんに抱き抱えられた山田の足にはスカートが引っかかり、見事に捲れ上がったそこには、水玉の可愛いパンツが広がっている。



(最高のご褒美だよ……。美兎ちゃん、ありがとうっ!)


 

 俺はそのご褒美を堪能すべく、一瞬たりとも気を抜かずにガン見し続けたのだった。

 




君は愛しのバニーちゃん

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