テラーノベル
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妹紅は森林を歩いていた。たまにパネルに視線をうつしながら、堂々と歩く。
どうやら来訪者が近くにいると、パネルが反応するらしい。
彼女的には、この森林に長居したくない。何か気分が悪くなるらしく、はやく来訪者を見つけて外に出たいところだそうだ。
「……全っ然反応しねぇ……」
だが、まったく反応しない。ずっと彼女のステータスのようなものを表示したままだ。
そして、あたりも暗くなってきた。周りから、怪物の鳴き声も聞こえてくる。
「まずい……ここで野宿はいやだ」
その時、やっと彼女が願っていたことが起きた。
『来訪者が近くにいます』
パネルが反応したのだ。それを見た彼女は喜びの声を上げる。
「おっ! きたきた!」
しかし、彼女は気づいていなかった。声を聞いた怪物が、彼女の後ろから迫ってきていたのだ。
「ゴオオオ!!」
怪物が妹紅に襲いかかる! そして……
「グエエ!?」
横から飛んできたなにかに、ぶん殴られた。そのまま大木に頭から突っ込み、動かなくなった。
「……あん? なんだ?」
その時はじめて、妹紅が怪物の存在に気づいた。
だが、それ以上に彼女の意識が向く者がいた。
それは、2メートルほどの黒い怪獣。頭には金色の角があり、背中と尻尾にも似たようなものが生えていた。
「……ッ!」
──こいつ、強い!
目の前の怪獣は、この世界で見た怪物よりも強いオーラをはなっていた。
「危なかったなぁ、嬢ちゃん?」
その言葉を口にしたのは、目の前の怪獣だった。
それは、和やかな関西弁。姿と比べて、かなりのギャップだ。
「……へ?」
困惑する妹紅に、怪獣は自己紹介する。
「ワシはブラックキングや。あー、くろっち て呼んでもええで」
「く、くろ……」
その時、妹紅のパネルが音を鳴らした。
『来訪者を発見しました。
名前 ブラックキング
種族 怪獣 』
「ら、来訪者!? あんたが!?」
驚いたのは彼女だけではない。
「じょ、嬢ちゃん来訪者なんか!」
目の前の彼もまた、妹紅を指さして驚いていた。
そして、心の中で謎の使命感を燃やしていた。
(こんな嬢ちゃんがやと……!? コイツは……守り甲斐がありそうやなぁ!!)
彼の別名は、用心棒怪獣。彼は勝手に妹紅の用心棒になることを決意していた。
それを見てさらに困惑する妹紅だったが、目の前の相手が来訪者ならもうどうでも良かった。
「く、くろっちさん。とりあえずこの森から出ないか? ここにいると気持ち悪くなる」
「え、そうなんか? じゃあそうしよか……でも出口知っとんのか?」
「知らん。その内出れる」
そして、もう一度歩き出す妹紅。
何はともあれ、心強い(?)用心棒 ブラックキングが仲間になったのだった。
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