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《????》
光の届かぬ黒き玉座の間。
その中心に描かれた巨大な【転移魔法陣】を囲うように、吸血鬼兵たちが何百と静かに息を潜めていた。
天井には王直属の《バットドラゴン》が数十体、逆さに張りつき、今か今かと牙を磨いている。
「来い……来い……」
玉座に座る男――《アビ》はその時を待ち続けていた。
「本当に来るのでしょうか?……“彼女”が……」
側近の問いかけにアビは鋭く目を向けた。
「疑っているのか?」
「い、いえ……ただ……根拠が……」
「あるさ」
アビは指を鳴らすと、空間から一枚の魔皮紙がスッと現れた。
それはまるで何の記述もない、ただの白紙に見えたが……その名を《エル・ディオス・デスヴェラード》――【神を暴くもの】と呼ばれている。
「……それは?」
「《エル・ディオス・デスヴェラード》。魔神様より選ばれし我ら魔王の系譜にのみ与えられる、“神の痕跡を暴く紙”。女神がこの世界に干渉すれば、こいつが微かに反応を起こす」
「ですが、それは“確信”には……」
その瞬間、側近の首が宙に浮く。
青白い血が吹き出し、床を冷たく染めた。
「“魔神の贈物”に疑念を持つ愚者は不要だ」
死骸に目もくれず、アビは指を鳴らす。
するとバットドラゴンの一体が音もなく地に降り立ち、死体を丸呑みにして天井へ戻る。
「ふ……少し熱くなりすぎたな……」
アビは再び玉座にもたれ、呟く。
その瞬間――魔法陣が蒼白く光を放ち始めた。
「……来たか。構えろ」
吸血鬼兵たちは一斉に魔法を構え、バットドラゴンたちが牙を剥く。
そして……
「到着し――え?」
「の、のじゃ!?」
「…………へぇ」
転移魔法陣から現れたのは、アオイ、ルカ、そしてルコサ。
次の瞬間、アビが低く、命じた。
「殺せ」
数百の魔法と剣が一斉に放たれる――《女神》を仕留めるために。
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