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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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この日夕方の定時で仕事が終わった美月が帰り支度をしていると、亜矢子からメールが来た。


【今日は夕方まででしょ? 少しならお茶に出られるからパーティーの打ち合わせをしようよ】


美月はそれを見て微笑む。


【OK! じゃあいつものカフェでいい?】

【ラジャー!】


美月の仕事帰りに亜矢子と会う時は、いつもそのカフェだった。

美月は先に店内へ入ると、席に着いて亜矢子を待つ。

スタッフが注文を聞きに来たが、連れが来てから一緒にお願いしますと伝えた。


その時、また美月の携帯にメールが届いた。

海斗からだ。


【今日のお仕事風景】


という件名で、スタジオで海斗のバンドのメンバー三人がふざけた顔をしている写真が送られてきた。

美月は思わずフフッと笑う。

そしてすぐに返事を送った。


【みんな楽しそう! 私はこれから亜矢子とお茶しまーす】


美月も写真を添えようと、空いたカフェの可愛らしい店内を写真に撮った。

そしてそれを添付する。

するとすぐに海斗から返事が来る。


【可愛いお店で女子会いいねえ】


それを見て美月は微笑む。


海斗はずっとこういった何気ないメールを送ってくれていた。

とにかく美月を不安がらせないようにと毎日こまめにメールを送ってくれる。

その気遣いが美月はとても嬉しかった。


その時亜矢子が店に入ってきた。


「お待たせ! 突然でごめんね」

「ううん、私も打ち合わせしたいと思っていたからちょうど良かったよ。でも亮くんは大丈夫なの?」


「うん、今日は母が来て見てくれているから大丈夫だよ。浩は一泊で出張なんだ」


そう言って亜矢子はメニューを見る。


「やっぱさ、軽く何か食べたいよね」


そう言って美月にもメニューを渡す。


「パスタにしようかな。私エビとトマトのガーリックパスタにしよう」

「じゃあ私はジェノベーゼ」


二人はすぐに料理を注文した。


それからは、亜矢子が美月を質問攻めにする。

この間の横浜のイベントの後、亜矢子と別れて海斗と二人きりになった時の事を聞かれる。

美月はなるべく平静を装いあの後海に行った事を話した。もちろん『キス』については黙っていた。


「波打ち際で夕日を眺めるなんて、超ロマンティック! そして海辺のレストラン? なんて素敵なデートコース。私と浩にも

そんな時があったわぁ」


亜矢子はうっとりと昔を思い出している。

そして一通り話を聞いた亜矢子は、とりあえず満足したようだ。

そしていよいよ本題のパーティーの話を始める。


亜矢子はパスタを食べながら、


「沢田さんの自宅って、美月の家のすぐ近くなんだよね?」

「そうだよ。歩いて三分くらい」

「近いよねー! パーティーって言っても料理はどうするんだろう?」

「何か買って行くか、作って持って行く?」

「それ! 作って持って行きなさいよ! 美月は料理上手だったんだから」

「『だった』ってなんで過去形なの? 今は作ってないみたいじゃん」

「え? 作ってるの?」

「作ってなかった」


美月がペロッと舌を出すと亜矢子が声を出して笑う。


料理上手の母の影響で美月も料理が得意だった。

結婚していた時も、共働きだったが料理をするのは苦にはならなかった。だからあれこれと作ったのを覚えている。

しかし元夫の口に合わなかったのか、元夫は段々と家で食べる事が減っていき離婚する頃には夫婦で食事する事はなくなってい

た。

美月が当時の事を思い返していると、亜矢子はすぐに察したようでこう言った。


「あれは美月の料理がまずいとかじゃないんだよ。あの時もう浮気をしてたの! 女の勘ですぐわかるわ」


亜矢子はパスタを頬張りながら言った。


「ずいぶんとはっきり言うようになったよねー」


美月は冗談めかして亜矢子に言うと、亜矢子がムキになって言う。


「だって今は沢田さんがいるからいいじゃん。あいつの悪口、私ずっと我慢していたんだから言わせてよ!」


と亜矢子は息巻いて言った。


「はいはい。これからは気の済むまで言って下さいませ」


美月が軽い調子でそう切り返したので、思わず亜矢子が噴き出す。

そして二人で声を出して笑った。


その後の話し合いの結果、パーティー当日は亜矢子と美月が分担していくつかの料理を作って行く事になった。

あとは、亜矢子の夫の浩にお酒類やおつまみを買って来てもらう。



亜矢子と別れてからの帰り道、美月はどんな料理を作ろうか考えていた。

パーティー料理を作るのって久しぶりだなあと、少しワクワクしてくる。

結婚していた時は、こういったパーティーは一度も開けなかったのでとても楽しみだ。

亜矢子夫婦とゆっくり飲むのも久しぶりなのでその日が待ち遠しい。


(頑張って美味しいのを作らなくちゃ!)


美月はそう思いながら、軽い足取りでアパートまでの帰り道を歩いて行った。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

5

ユーザー

パーティー楽しみですね!美月ちゃんが亜矢子さんとお料理を作って持ち寄り、和やかにみんなで会話するんだろうなあ🥹あ、月が主役だけど😂それにしても、元旦那はどこまでもダメ男で思い遣りが無い😡そりゃあ亜矢子さんも怒り心頭だよねー!美月ちゃんの心の傷はきっと深かったよね。

ユーザー

美月チャンのことを、ずーっと心配で見守ってきた亜矢子チャン😭 やっと美月チャンに心からの好きな人、心からの笑顔が戻って嬉しいやんな🥹 2人の美味しいお料理でスーパームーンパーティー🌕️を盛り上げてあげてね(*´艸`*)✨ ワクワク💕

ユーザー

海斗さんの優しがいっぱい🫰大好きで大事で守りたい大切な人。だから美月ちゃんが大事にする亜矢子ちゃん達ともいい関係になろうとする海んの姿勢がいい💗 パーティーが楽しみ(* ॑꒳ ॑* )⋆*ワクワクまた一歩距離が縮みますように🌕

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