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#普通
野々さくら
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ありあ
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それから時は瞬く間に過ぎ、待ちに待った土曜日となった。
正午を迎える少し前、信愛たちは台東区下野にあるフロンティアビルの前に集まっていた。
あとは、約束を取り付けてくれた龍河を待つだけだった。
「馬場さん居ないね?」
信愛はそう言いながら辺りを見回す。
しかし、それらしい姿はどこにも見当たらない。
すると、聞き覚えのある声とともに、龍河が小走りでこちらへ駆け寄ってきた。
「おお!お待たせ」
「あ、馬場さん!」
龍河は軽く息を整えると、目の前のビルを見上げた。
「まあここで話すのもなんだから
とりあえず来てくれ」
その言葉を聞いた瞬間、焔垂の目が輝く。
「つ、ついに!?」
「ああ、編集部に案内すっから」
「っしゃぁあぁあぁ!!!!」
ついに憧れの場所へ足を踏み入れられる。
焔垂はその喜びを抑えきれず、拳を握りしめて雄叫びを上げた。
「はぁ~・・・うるさい」
茜が呆れたようにため息をつく。
「まぁまぁ」
信愛が苦笑しながらなだめると、焔垂は不満そうに振り返った。
「茜だってTAMAYAに初めて
会った時、抱きついてたくせに
人にばっか言えねーだろーが!」
「きゃはは♬それはそうだわ♬」
さくらが楽しそうに笑い、信愛も思わず頬を緩める。
「ふふふ、確かに」
「ぐぬぬぅ~・・・」
痛いところを突かれた茜は、悔しそうに唸った。
「それ言われると反論できる余地ない」
「反論しなきゃいけないんですか?」
朝陽の素朴な疑問に、再び小さな笑いが起こった。
◇ ◇ ◇
そんな賑やかな一同を連れ、龍河はフロンティアビルの中へと入っていく。
エレベーターを上がり、やがて辿り着いた先。
そこには、焔垂が長年憧れ続けてきた世界が広がっていた。
「ようこそ──」
龍河が一同を振り返る。
「MW編集部へ」
「うぉおぉおぉおぉお!」
焔垂は全身で喜びを表すように拳を固く握りしめた。
「ついに!ついに来てしまったぁ!」
壁には、これまで発売されてきたMWの雑誌がずらりとディスプレイされ、至る所に怪しげなポスターやタペストリーが飾られている。
まさに、オカルト雑誌の編集部と言った感じだ。
焔垂にとっては夢のような光景だった。
「おお!さすがは編集部って感じ!」
茜も興味深そうに辺りを見回す。
「こうして来てみると
やっぱテンション上がりますね!」
朝陽も普段より少し弾んだ声を上げた。
「だろ?だろ?」
まるで自分のことのように得意げな焔垂に、さくらが現実を突きつける。
「まぁ机は汚いけどね・・・」
編集部内に並ぶライターたちの机には、書類や資料が山のように積み重なっていた。
お世辞にも、整理整頓されているとは言い難い。
「あはは・・まあな・・そこは見なかった事に」
龍河は苦笑しながら誤魔化した。
そんな中、信愛は本来の目的を思い出し、馬場へ声をかける。
「あの・・馬場さん?編集長さんは?」
「ああ、待ってな」
龍河は奥へと視線を向けた。
「今呼んでくるから」
そう言い残すと、馬場は一同をその場に残し、編集部の奥へと歩いていった。
◇ ◇ ◇
一同がお茶を飲みながら待っていると、やがて龍河が一人の男性を連れて戻ってきた。
その人物こそ、MWの編集長・江波山忍だった。
忍は一同の顔を順番に見渡すと、穏やかな笑みを浮かべる。
「君らがあの狗頸学園高校の
怪異探求倶楽部の子たちかい?」
「あ、はい!」
信愛が少し緊張しながら答えると、忍は親しげに頷いた。
「はじめまして、月刊MW編集長の江波山忍です」
「はじめまして。白縫信愛と言います」
「白縫さんね・・・」
名前を聞いた瞬間、忍の表情がわずかに変わった。
じっと、信愛の顔を見つめる。
その視線には、初対面の人間を見るものとは違う、どこか確かめるような雰囲気があった。
(やっぱり似てるな・・・)
「あ、あの・・・どうかされました?」
不思議そうに尋ねる信愛の声で、忍は我に返った。
「ああ、いや、なんでもない」
その様子を見ていた龍河も首を傾げる。
「編集長?」
「ああ、本当になんでもないんだ」
忍が誤魔化すように笑うと、今度は焔垂が勢いよく頭を下げた。
「あ、あの!は、はじめまして!
八乙女焔垂って言います!」
そして、目を輝かせながら言葉を続ける。
「昔からずっとMWのファンで
お会い出来て光栄です!」
「わはは、ありがとうな」
長年の愛読者を前に、忍は嬉しそうに笑った。
だが、すぐに何かを思い出したように一同へ背を向ける。
「まあ、とりあえずついて来てくれ
見せたいものがあるんだ・・」
信愛は思わず聞き返した。
「見せたいもの?」
「ああ、こっちに」
忍に促され、一同は顔を見合わせる。
信愛の顔を見た時に見せた、あの不可解な反応。
そして、自分たちに見せたいという何か。
一体、この先に何があるのか。
わずかな疑問を胸に抱きながら、一同は忍の後をついていった。
コメント
1件
おお、ついに編集部訪問キター!焔垂のテンション爆上がり具合がめっちゃ伝わってきて笑ったわw 編集長の信愛を見た時の反応が気になるな…何か秘密がありそうで続きが待ちきれん!