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生きる路

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生きる路

34 - 分岐2:希望と生きる路

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2022年08月29日

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1年半後───


「っらっしゃぁせー」

今日もまた割とめんどくさい1日が始まる。

(今日はレジ入って、届いた商品並べて、っていつもと変わんないか)

俺は結局、“いち早く自立する”というこの路を選んだ。もちろん高校中退の人をを快く使ってくれる所は多くなく、最初は困難を極めたが、いざスタートラインに立って走り出してみると、スムーズに事は進んでいったように思える。まぁ毎日やってることは変わらないんだけど。

でも初めて6ヶ月くらいのときだっただろうか?仕事にも慣れて代わり映えのない毎日を送っていたある日のことだ。いつもの俺の視界をより明るく彩ってくれるような人が俺の目の前に現れた。彼女の名前は……

東野 

正直見かけた瞬間は驚いた。なにせこのコンビニはあの高校から来るには遠すぎるし、駅近というわけでもないのだから。

「あれ?光根君ですか?」

そう言って彼女は話しかけてきたんだ。まさか覚えてると思ってなかったから驚いたが、同時に嬉しかったこともよく覚えている。本当の友達がいなかった俺にとってはそれは何よりの喜びだった。

それからというもの彼女は週に2回、水曜と土曜に必ずここへ来た。そして俺のシフトが終わるまで待っててくれる。なぜかはよくわかんないけど。聞いても教えてくれないのだ。

「知ーらなーい!!」

「私もよくわからないんだよねー」

などと言ってはぐらかされる。本人の意思で来てるんだから知らない訳ないだろ!!と、思いつつもそこまで気にすることもないので気に止めていない。

まぁそれは一旦置いといて、それよりも今日は大事な1日なのだ。俺の……バイト1年目記念!!今まで自分の意思で決めたことなんて1つもないのに初めてやったことが1年も続いたと思うと、なんか感慨深いな……そんなことを考えていると

「あ、もう18:30か。店長、そろそろ僕あがりますね」

「ん?おぉ、もうこんな時間か。そういえば今日でお前はバイト1年か」

「えぇ、おかげさまで。いつも楽しくやらせてもらってます」

「そうかそうか、そろそろ正社員になるか?なんてなw」

「ハハハ、もう少し経験を積んでからにしますよ、では僕はこれで」

「あ、ちょっと待て。はいこれ」

「え、これって、えぇ!!僕今日給料日じゃないですよ?」

「いいんだよ、俺からのほんの気持ちだ。記念でなんかうまいもんでも食っとけ食っとけ!!次のシフトからまた頑張ってくれればそれでいいからさ!!」

「あ、ありがとうございます!!」

「おう、じゃあ気をつけて帰れよ!!」

「はい!!!!」

「ちょっとー!すいませ~ん!誰かいませんかー?」

「すいません!!今行きます!!じゃあな」

やっぱここの店長いい人だよな。俺を受け入れてくれたのもこの人だったし。あ、いけねぇ、東野が待ってたな。


「待たせてごめん!!」

「別に大丈夫だよ!!それより今日はバイト1年記念おめでとう!!!」

「あ、ありがとう、でもなんでそれを?」

「ちゃんと見てたんだよ、頑張ってたの……//」

「ウッ、そういうのこそはぐらかさねーのかよ……でもまぁありがとね」

「う、うん……あ、そ、そうだ!!あのさ、今日はその、バイト1年記念ってことでプレゼント!!はいこれ!!」

「ん?これってケーキ?」

「うん、その、ちっちゃいけど、気持ちだから!!」

「大きさなんて関係ないよ。ありがと!!おいしくいただきます!!」

「うん!!」



そんなこんなでいつもの分かれ道まで着いた。

「じゃあ、またね!!」

「うん!!今日はありがとう!!」


ハァ……結構私、思い切ったことするな……すごいドキドキする……次あったとき、なんて言えばいいのかな……考えただけで胸が締め付けられて痛い……こんなの初めて……まぁこうなるのも当然か。だって一緒に添えた手紙には……


俺は帰って、もらったケーキをデザートに食べて寝ようと思っていた。が、それだけじゃ今日は終わらなかった。

今日は色々なことがあって疲れているはずなのに、寝れない……理由は明確だ。だってケーキと一緒に添えられた手紙には……

「明日休みで良かったな……」

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