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変なやつ。
ずっと笑顔でニコニコして、厨二病なのか首とか手首に包帯巻いてて。
前髪から覗く目は、何も考えてないみたいにキラキラして。
コイツとだけは、絶対仲良くできない、したくないって思ってたのに。
恋愛体質の母は、よく新しい彼氏や父親を連れてきた。
相手に左右されやすくて、最近は優しかったから良い相手なんだろうなと思っていた。
今日会うって聞かされたときも、そこまで抵抗はなかった。
学校が終わって家に帰ると、見慣れない靴が一つ、そして、見たことのある靴が一つ。
「あ、おかえりなさい!こっちに座って!」
「おかえりなさい、真くん。はじめましてだよね」
「…さっきぶりだね!」
優しそうな男の横に、嫌いなあいつが居た。
いつも通りの笑顔、なのにどこか遠い目をしていた。
「…なんで、お前が」
「あのね、今日から一緒に住むんだけど、そうそう婚姻届も今日出そうってなってて!その前に会っとこ~って!」
母は楽しそうに話す。
けど俺が知りたいのは、コイツ。
「僕の…お父さんが、君のお母さんと再婚することになったんだ。僕と家族なのは嫌かもだけど…仲良くして欲しいな」
ニコリとまた口角を上げる。
気味の悪い。
いつもの馬鹿げた話し方とは違って慎重に話している。
まるで、監視対象みたいに。
「ほら真っ、挨拶して!」
「…うん。竹内真です、今日からよろしくお願いします、…お義父さん…?」
向かいに座る男は満足そうに笑った。
「うん、よろしくね、真くん。僕のことは、本当の父親だと思ってくれて構わないから」
「ありがとうございます」
「敬語なんかじゃなくていいよ」
「わかった」
母も、新しい父も、満足そうに笑う。
なのに、一人だけ蚊帳の外みたいな顔して。
「お前も真くんに挨拶しなさい」
「うん。華井仁です、竹内くんとは高校一緒だよね?これからよろしくね」
返事はしなかった。
それでも二人は気にせずに笑った。
「そうだ、二人でちょっと話してきたら?今日から兄弟なんだし!」
「それが良い。ほら、行きなさい」
「…うん。竹内くん、行こ」
「…おう…」
新しい父親は、仁に対してはどこか高圧的に感じた。
気のせいだ、と振り切れれば良かったのに。
「…フゥ…いやぁ竹内くんと家族なんて嬉しいなぁっ!ねえね、どっちがお兄ちゃん?」
扉が完全に閉まりきると、華井の肩が目に見えて落ちた。
目も、学校と同じふざけた目。
「家は同じでも、お前と兄弟なんてなるつもりないから」
「…そっか」
少し寂しそうに笑って、部屋を見渡した。
まるで気にしてないみたいに。
「綺麗な部屋だね、竹内くんらしいや」
「うるさい。さっさと出てけよ」
「出るタイミングは向こうが決めるでしょ?勝手に出たら怒られちゃうよ」
軽く笑った。
なんてことない、当たり前のことを言ったみたいに。
気持ち悪い。
「…お前、ほんとに嫌いだわ」
「知ってる。…それが正解」
あ、またその目。
何も反射しない、真っ黒な目。
その目が、大嫌い。
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