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今話はアーサー視点でてきません
呻き声と叫び声が交互に部屋から飛び出してくる。それも、合間があるんじゃなくてずっと。確かに出産が命懸けとはこういうことなのだと親身に感じた。エドワードは先程から電話を出たり切ったりでまさにアーサーと同じような状況だ。やっと一息つけたのか、壁に額をゴツンとぶつけてため息をつく。
「ほら、エドワード。缶コーヒーだけど」
「あ、ありがとうございます,,,って失礼しました!フランス様の前で失態を,,,」
「別に気にしてないよ。エドワードは大丈夫なのかい?」
「はい。ご心配おかけして,,,ありがとうございます。カナダ様にももう一度お伝えし、アメリカ様の秘書にも連絡はしたのですが,,,」
「えーと,,,メアリー?だっけ。」
「はい。メアリーです。よほど仕事が溜まりきっていたのか,,,電話越しでもまだザワついていましたね,,,」
「まじでどんな大きさの仕事を横流しされたんだって話だよな、」
廊下の椅子で2人和んでいると病室内からその日一番の叫び声が響いてきた。
思わず2人で飛び上がってしまい、オロオロしていると代わる代わるにどんどん医師やナースが室内へ入っていく。 ナースが1人出てきたところで、エドワードが呼び止める。
「す、すみませんお忙しい所!その、イングランドは,,,」
「今、寸前まで来ております。」
「!!!」
「ですが、へその緒が絡まり、詰まっているようなものになっているのです。首に絡まってしまっては御子の命が安全ではなくなるので、人手を要請しております。もうすぐですよ。」
「,,,っはい。お願いします,,,っ!」
ナースが走り抜けていってもまだエドワードは頭を下げている。ポンと肩を触る。
「,,,ほら。パパがまだ来てないんだから君が見届けないと。」
「,,,はいっ」
その頃、アメリカ
「ッッッッ!!終わったあぁああああ!」
「やったぁー!」「帰れる,,,ッッッッ」
溜まりきった仕事が終わり、各々が涙を流したり突っ伏したりしている。アルフレッドもその1人でゴソゴソと帰る準備をしている。その中、メアリーがシュンっと物凄いスピードでアルフレッドに近づいていった。
「Mr.ジョーンズはまだです。これを上司に持って行って報告してください。」
「はぁ!?なんで俺なんだい!?」
「あなたが祖国で、ここの責任者だからですよ!」
「俺早く帰りたいんだけど!?」
「これを渡したら帰れます!行ってらっしゃいませ!」
「もーー!!!」
涙ながらにバタンと音を立てながらアルフレッドは走り去っていく。フゥと息をついたメアリーに他の社員が近づく。
「あ、あのメアリー。ジョーンズに奥さんがもうすぐ出産されるっていうの伝えてないんですか,,,?」
沈黙が続く。社員が冷や汗を流したところで、
「えぇそうよ。言ってしまったらあの人、仕事を放り投げていくじゃない」
その一言で室内は阿鼻叫喚に包まれる。
「なんてことしてくれてんですか!怒りますって!ジョーンズなら!!」
「でも実際ジョーンズがいたから仕事早く終わったでしょう?ほらみんなも帰る用意。」
グゥと音も出ない返答に社員たちはせめて伝えられる前に帰ろうとそそくさ行動し始める。
アメリカ上司の部屋内
「あぁすまない。これでいいよ。」
「いいですね!じゃ帰ります!」
「,,,どうしてそんなに急ぐんだ?何かあったのか?」
「早く妻に会いたいんですよ」
「妻,,,?ああ。あれ?お前メアリーから伝えられてないのか?一昨日ぐらいに奥さんが陣痛きたってイギリスから来てたぞ。てか嫁さんイギリス人なんだな。」
「,,,は?え?,,,え?」
「え?だから、私はそんなことがあってもアメリカ国民を優先してくれるのかと心配しながらも関心したのだが。」
「え,,,?初耳なんですが,,,」
アルフレッドのメガネがズルっと崩れていく。 再び沈黙が流れ、上司はハァと呆れた声を漏れ出した。アルフレッドは顔が青くなっていく。
「,,,ボーナスと出産祝い弾んどくから。早く帰れ。まだ産まれたって言うのは入ってきてないぞ。」
「帰ります!!!!!」
部署に戻ると残っていたのはメアリーだけであった。アルフレッドはすぐに詰め寄る。
「メアリー!アーサーが陣痛きてるなんて聞いてないんだが!?」
「聞かれてないですからね」
「だったとしても!エドワードから着てただろう!?家族のことは伝えてくれよ!」
「Mr.ジョーンズのおかげで祖国民は早く帰れました。どうもありがとうございます。」
といい、メアリーは頭を下げる。ここまでくるとアルフレッドは何も言い返せなくなり、すぐにガッとカバンを掴み、
「帰るからね!!君も早く帰りな!!」
と言って出ていった。
時計を見ると、7月2日16時。これから行くとしても24時の深夜になるだろう。とにかくバタバタとしながら空港に行くと、物凄く大きな音が近づいてきた。ヘリコプターだ。もしかしたら使えるかもしれないと思い、必死に手を振っていると急降下してきた。まさかの運をここで使うかと驚いていると、もっと驚くべきものがヘリから出てきた。
「あっアルフレッドじゃん。乗りなよ」
出てきたのはマシューだった。