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その晩、わたしはふと目がさめた。窓の外から、かすかな光がちらちらと入ってきている。
なんだろう…と思ってそっと外へ出ると、
森のほうからあの花の場所が光っているのが見えた。
足音をしずかに、でも早く。
夜の森はちょっとこわいけど、
胸の中のわくわくのほうがずっと大きかった。
花は、昼間よりもずっと明るく光っていた。
まるで小さな星が地面におりてきたみたい。
そのとき──
「ありがとう、ミナ」
どこからともなく、やさしい声が聞こえた。
びっくりしてあたりを見回したけど、
だれもいない。
「…だれ?」と小さくたずねると、
「わたしは、星の国のもの。
その花は、わたしの魔法のかけら」
声はふわっとしていて、
耳じゃなくて、心に直接届いてくるみたいだった。
「その花を、大切な人のために使うといいわ」
そう言ったあと、光は少しずつやさしくなって、
やがてふつうの花の色に戻った。
わたしは花をそっとつみ、胸に抱えて帰った。
おかあさん、きっとこれで笑ってくれる…
そう思ったら、足どりがふんわり軽くなった。