テラーノベル
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その一週間、凛は寄り道もせず、毎日まっすぐ帰宅して颯介の物件のリフォーム案に没頭した。
その甲斐あって、金曜の深夜になってようやく完成にこぎつけた。
「できた! 完璧だわ。これなら文句は出ないはず」
必要な資料を添付し、凛はすぐに颯介へメールを送った。
すべてを終えると、時計はすでに深夜一時を回っていた。
「もうこんな時間……早くシャワーを浴びて寝なくちゃ」
そうつぶやきながらバスルームへ向かう。
シャワーを浴びて気分もすっきりした凛が部屋に戻ると、携帯のランプがチカチカと点滅していた。
画面を見ると、颯介からメッセージが来ていた。
(こんな真夜中に?)
驚きつつ、凛はすぐにメッセージを開いた。
【今見たよ。バッチリだ。来週、この案でさっそく進めてください】
その言葉に、凛は胸を撫で下ろす。
(よかった。一発OKね)
そして凛は、すぐに返信した。
【承知しました。では、来週から取りかかります】
送信を終えた瞬間、突然電話が鳴った。
静まり返った部屋に響く着信音に、凛は思わずドキッとする。
「こんな時間に、何だろう?」
何か不備でもあったのかと不安になり、凛は慌てて電話に出た。
「もしもし」
「こんばんは。遅くにすまないね」
深夜に聞く颯介の低く落ち着いた声は、妙に耳に心地よい。
「いえ……こちらこそ遅くにすみません。今日中に仕上げようと思っていたら日付をまたいでしまって……。まだ起きてらしたんですね」
「うん、ちょうどパソコンの前にいたからね。リフォーム案、すごく良かったよ。上質で洗練されているのに、ちゃんと個性もあって、他とはしっかり差別化できてるし……大満足だよ」
「ありがとうございます。私の得意なテイストを随所に取り入れてみました」
「うん。これなら人気物件になるだろう。ところで、明日は何か予定ある?」
「え?」
「お礼に、食事でもどうかなと思って」
突然の誘いに、凛は思わず息をのむ。
「食事……ですか?」
「実は、北海道の知人から、いくらやウニを山ほどもらってね。おふくろが二人では食べきれないから誰か呼びなさいって言うんだ。君の話をしたら、ぜひご招待しなさいってさ」
「ということは、ご自宅に……?」
「うん。ちょうど庭の紅葉も色づいてきたし、どう?」
「…………」
思いがけない誘いに、凛は少し戸惑った。
いくらとウニは大好物だし、もちろん颯介の家や母親にも興味はある。それでも、知り合って間もない相手の自宅を訪ねるのは、やはりためらわれた。
そのとき、先日の奈美の挑発的な態度が脳裏をよぎった。
(そういえば彼女、真壁さんとデートの約束をしたって言ってたけど……本当なのかな?)
あのときは口から出まかせだと思ったが、嘘と断言できる根拠もない。だから、凛はずっと気になっていた。
(確かめるにはいい機会かも……行ってみようかな)
そう決心した凛は、はっきりと答えた。
「では、遠慮なくお邪魔させていただきます」
「ありがとう。おふくろも喜ぶよ。じゃあ明日……いや、もう今日か。午後三時にこの前の場所でいい?」
「近いので電車で行きますけど?」
「乗り換えが面倒だから迎えに行くよ。この前のコンビニの前で待ってて」
「分かりました」
凛はありがたく颯介の好意に甘えることにした。
翌日、少し遅めに起きた凛はそわそわしていた。
(手土産はどうしよう……地元のお菓子でいいかな?)
幸い、凛の住む街には評判の良い和菓子店がある。季節を映した生菓子はどれも上品で、味も折り紙つきだ。
凛はそれを手土産に持っていくことにした。
約束の時間より少し早めに家を出た凛は和菓子店へ寄り、紅葉や銀杏をかたどった秋らしい生菓子を箱に詰めてもらう。
満足のいく買い物を終えた凛は、以前颯介と待ち合わせた場所へ向かった。
(今日はさすがに沢渡さんはいないわよね……)
周囲を見回したが、奈美らしき姿はない。
凛はほっとしてコンビニの前で立ち止まった。
やがて、颯介の車が滑り込むように目の前に停まった。
前回と同じように、颯介はわざわざ運転席から降りてきた。
「お待たせ」
「こんにちは。今日はお招きありがとうございます」
「いや、こちらこそ急に悪かったね。さあ、乗って」
颯介がドアを開けてくれたので、凛は恐縮しながら助手席に座った。
ドアを閉めた颯介が、運転席に戻ってくる。
「朝はゆっくり休めた?」
真夜中まで起きていた凛を気遣っての言葉だろう。
そんな颯介に、凛は笑顔で答えた。
「いつもより寝坊したので、大丈夫です」
「そっか」
凛がシートベルトを締めたのを確認すると、颯介はアクセルを踏み込み、静かに車を走らせた。
コメント
23件
これは職場で話してたら盗聴されてたからよかった‼️ ご自宅訪問楽しんで😍😍😍
自宅で仕事して✉️で即納してよかったね✨奈美のちょっかいも受けずに済んでプラス颯介さんのお友達の朔也さん⁉️のウニ三昧のご招待付き🏠🙌 2人の仲を縮めてお母さんにもご挨拶できるチャンス👍これは行くっきゃないねo(^▽^)o🎶

家からの完成報告で良かったね これが会社からだとまた奈美の妨害にあってたよ💢 凛ちゃんならきっと颯介ママとも仲良くなれるはず まずは美味しいお食事を楽しんでね