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「え? それってどういう……」
『今、響と話してたんだけど、確かに木葉さんに声を掛けたことも彼女の自宅最寄り駅に居たのも認めたけど、それはあくまでも偶然なんだ』
「偶然?」
『最寄り駅に居たのは響の知り合いの家がその近くにあるから。彼女の様子を窺ってたのはあくまでも職場周辺から駅まで……藍島のマンションまでついていったりインターホンを鳴らしたりはしてないって。そもそも響はお前の住んでるマンションは知らないって』
そう直人から聞かされた次の瞬間、部屋にインターホンが鳴り響く。
その音で亜佑美は怯え、陽向はすぐさまモニターを確認しに行くけれど、
「また居ない……」
今回もまた来客ではなくて嫌がらせようで朝陽は直人に問いかける。
「先輩は今も、田仲さんと一緒に?」
『ああ、今目の前に居るよ。どうかしたのか?』
そして直人の返答で、 ストーカーの犯人が別にいることがハッキリしたのだった。
「今、誰かが俺の部屋のインターホンを鳴らしたんです……」
『マジか……。響のやったことも大概だけど、正直その相手は危険だ。お前が一緒に居るって分かっててそういうことしてくるんだろ?』
「……はい」
『とりあえず警察に――いや、インターホン鳴らすだけじゃ取り合ってくれないか……とにかく、このままで済むとは思えない。今に直接何かして来るかもしれないからくれぐれも用心しろ。いいな?』
「はい、ありがとうございます」
直人との電話を終えた朝陽は怯える亜佑美の身体を抱き締めると、陽向に向かってこう口にする。
「陽向、悪いけど当分家に泊まってくれないか? 俺一人より男が二人居た方が何かあった時に対応出来るから」
「まあ、兄ちゃんたちが良いなら俺は構わねぇけど……」
「亜佑美さんも、それで良いですか?」
「……うん、ごめんね、陽向くんにまで迷惑掛けて……」
「いや、別に迷惑とか思ってねぇよ。つーか結局犯人誰なんだよ? その取り引き先の男じゃなかったのかよ?」
「違うんだ……。その田仲さんは今、先輩と一緒に居るらしい。それに、田仲さんは俺のマンションを知らないって。確かに先輩にも詳しい住所を教えたことはないし……後をつけない限り分からないと思う」
「けど、そいつが亜佑美サンに付き纏ってたんじゃねぇの? 声掛けて来たじゃん」
「あれは、いつも俺が傍に居て話すタイミングが無かったから、先輩から偶然俺が出張に行く話を聞いたことで、その日なら話せるかもと思って声を掛けたって」
「何だよ、紛らわしいな……」
「でも、私の自宅最寄り駅でも見掛けたことあるよ……」
「それも、知り合いがその駅の近くに住んでて偶然だって……本人が言うには、流石に嫌がらせはしないって」
「……だったら、誰なんだよ?」
「それが分かったら苦労しないって。とにかくこの先何かしてくる可能性もあるから、亜佑美さんは一人で行動しないでください」
「……で、でも……」
「大丈夫、何があっても俺が守りますから信じてください」
「朝陽くん……。でも、朝陽くんや陽向くんに何か危害が加えられても嫌なの……だから……」
「平気だって、俺や兄ちゃんはそう簡単にやられたりしねぇから。俺ら、中学まで空手習ってたし。な、兄ちゃん」
「そんなに強い訳じゃないですけど、護身術程度には役に立つと思いますから」
「……そっか……。でも、無理はしないでね」
「分かってます。何とかして、犯人を捕まえましょう」
こうして三人は正体分からぬ犯人への対策を考えていった。
翌朝、いつも通り朝陽に送ってもらった亜佑美が会社へと出勤すると、ちょうど出社してきた界人と鉢合わせる。
「おはよ木葉」
「おはよ北丘くん」
いつものように挨拶を交わしたものの、界人はすぐに亜佑美の様子がおかしいことに気づいた。
「……どうしたんだよ。何か元気なくね?」
「うーん……ちょっとね」
「悩み事?」
「うん、まあ……」
歯切れの悪い返事に界人は眉を寄せる。
「何だよ、もったいぶって。もしかして例の彼氏と何かあったとか?」
「え!? 違うよ!」
思わず声を上げた亜佑美に界人は少し驚きながらもどこか安心したように笑った。
「ふーん? なら何なんだよ?」
「…………」
暫く迷った末に亜佑美は、
「……実はね、今、付き纏いの被害に遭ってて」
「付き纏い? ストーカーってこと?」
「うーん……そうなる、かな」
「マジかよ。心当たりねぇの?」
「うん……」
「それで、何か対策とかしてんの?」
「今は彼の家に住まわせてもらってるの。でも……彼の家も知られちゃって。インターホンを鳴らされたり嫌がらせみたいなこともされてるの」
「はあ?」
そこまで聞いた界人の表情が一気に険しくなる。
コメント
1件
60話読ませていただきました!ストーカーの犯人が田仲さんではないと分かって、ますます「誰なんだろう…」という緊張感が高まりましたね。朝陽くんが「何があっても俺が守りますから信じてください」と言うシーン、とてもかっこよかったです。陽向くんも加わって、3人で対策を考えるところが家族みたいで温かいなと感じました。界人くんが話を聞いた時のリアクションも気になります!続きが早く読みたいです😊
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