第7話 喜びと嫌悪感の狭間で
「すみませーん、少しお時間頂けますか?」そう言われ、横を見るとおそらくテレビ局の人達だった。見たこともないような大きいカメラ、普段は向こう側にいるアナウンサー、色々な調節をしているスタッフ、全て初めて「本物」を目の前で見た。私が「何のご用件ですか?」と聞くと、「インタビューです」と相手は答えた。インタビューか、、、。ずっと楽しみにしていたやつじゃん!と、少し舞い上がったがなんともない振る舞いをした。
「あなたは食料不足に耐えきり、生き抜いたことで有名ですが、どうやって耐えたのですか?」
「なんとなく、そばにあったオセロを食べてみたんです。すると、体質に合っていたのか意外といけました。それからはトランプや布なども食べましたが、大丈夫でした。」
「最後に皆様へ一言お願いします。」
「私はトランプやオセロを食べられる体質だったので良いのですが、体質に合っていないと最悪タヒぬので興味本位で真似はしないでください。」
「ありがとうございました。それでは。」
テレビ局の人達は立ち去った。あんなに楽しみにしていて生きる目的だったインタビューなのに、もう怖い。よく考えたらこれから酷い目に合いそう。
久しぶりにスーパーに入った。やっぱりここの店は寒い。夏に入ってもしばらくすると冷える。しょうがないけど。
カゴにたくさんの食料を入れて会計をし、外にでるともう夕方だ。家に帰って晩御飯の支度だ。
─残念ながら嫌な予想は当たってしまう─